魔利支天の妻
今川に仕官の叶わなかった勘助はミツのいる甲斐の国に戻りミツと再会します。相変わらず飢饉の続く甲斐。
お腹が大きいミツが乏しい食料で粥をつくり差し出すのを平然と受け取り、なを、お腹の子を「誰の子かわからん」という冷たさにはちょいとがっかりな勘助像です・・(が流石に食べる気にならず茶碗をミツの前に置く勘助でした)。
怒って掴み掛かる平蔵、こぼれたお椀から溢れる粥を両手で掬って「勿体無い・・」そう貪り喰らうミツの描き方がとても良いシーンでした。
しかし勘助という人物は家族など持たぬイメージだったので、このお腹の子やミツの設定に少し戸惑う私です。けれど貫地谷しほりさんは魅力的な女優さんだからゆるす(笑)。
父親の信虎との相変わらずの不協和音に元服も済んだ晴信は、歌や夜更かしなど怠惰な暮らしをつづけています。
みかねてお守役の板垣が諌めても一向に聞く耳を持たぬ春信の心中を大井夫人は冷静に分析してみせます。
「お館さまは晴信の利発を怖れ、晴信はお館さまの憎しみを恐れている」と。
ミツを側に呼びたいという春信・・徐々に勘助との距離が近ずく展開がハラハラしますが、お腹が大きいミツでは仕方ない。父親は誰だ!と聞かれ平蔵が名乗りでます。赤部を殺した勘助は当然罪に問われると考え納屋に隠れていたのです。
お守役の板垣が武芸無骨だけでは春信を諌められないと半月ばかり身を隠し、その間に歌を詠む猛勉強をし、晴信を諌めるエピソードは夙に有名です。
「はかなくも、なおこのもとの夕映えに、月影宿せ花もいろ添う・・」
「この板垣の前ではうつけの物まね等無用でござる・・」もっとも泣かせるシーンなんですが飛ばし過ぎ(笑)
ミツの藁で作った眼帯が似合う勘助、ようよう覚悟を決めお腹の子とミツに「そなたはワシの城じゃ・・・やっと見つけたんじゃ、わしの戦を」摩利支天をミツの首にかけてあげる勘助ですが尋常な運命では無さそうな2人、いや3人。
間延びした台詞回しでわざと人間性の残忍な面を臭わせている信虎の狩りでの矢先は何故かミツです。鹿が逃げたのはワラビを集めていた百姓女のせい・・・そう思ったのでしょう。
しかしあんなに遠くからミツの胸に下げた摩利支天・・・見えるものなのでしょうかね?ハっとミツに気がつく晴信!。
わ、勘助の虚無の大元が原因が・・・・