白州次郎・正子の食卓
著者の牧山桂子さんは白州夫妻のご長女で武相荘のオーナーでいらっしゃるが素晴らしい料理の作り手・・・ご本人は主婦であると謙遜なさっていますがその腕前の冴え、もう大胆で繊細、見事でため息の連続でした。
全く料理をなさらない母上白州正子さんに代わって実にすばらしい料理を作っていらした様子がこの本から窺えます。魯山人の器にのせた刻み蕗の薹や、江戸中期の伊万里瑠璃小鉢に薬味をのせたり、どのページもため息の連続です。
白州次郎さんが名前を思い出せずに「何んてったけ、あの笑っているような料理」と言ってらしたクスクスのエピソードなど読み物としても楽しさが溢れています。
美に殉じた人々、白州正子さん,次郎さん,器のどれもこれも、桂子さんの心のこもった料理までが・・すべてがしあわせに輝いている暮らし、ご主人牧山圭男氏の焼いた陶器も玄人、実に料理をひきたてています。
器と調和する古代布地の美しさ・・・幸せを現す・・とはこんな暮らしが出来た人々のことを指すのですね。”美しい国,日本”にふさわしい暮らし方の究極がここにあります。大切な1冊になりました。
新潮社から 白洲次郎・正子の食卓