仕事の原稿が届かずヒョイと空いた時間に、息子とフミちゃんが東急ハンズで材料を購入し、私の為にある工作をしてくれました。いつも思うのだが、二人のやり取りを側でみていると心が洗われるから凄い。
まずお互いの会話の声音が非常に優しい。無駄口が全くない。動作も優しい。夫唱婦随で、やり直しが起きても何度でも根気よく「こうかね?大丈夫、真直ぐになってる?ありがとう、じゃ押さえていてね」「あ、曲がってます」「これでどう?」「はい、大丈夫です」と
穏やかに楽しそうにトイレ用便座の座高を高くするカポックを熱線ドリルで切り取って行く。フミちゃんは完璧に助手としてKyoの手足になって微調整を繰り返しながら作業をしてゆくさまが流れるようで・・・実に見事なのだ。
「すまないなぁ〜、悪いなぁ」と言いつつ見愡れてしまう私なのだ。
実はウオシュレットがあると、便座の高さを加える既製品の補強用具が使用できない為に工夫してくれているのだ。TOTOの電気仕掛けの上がり下がりする便器にすれば何の問題もないのだが、1階のトイレは猫ちゃんトイレと共用なのでこれ以上狭くはできない。老人も使うので手すりはあるが、それでも冬になると身体が強ばって立ち上がりが苦労なのでちょいと煉瓦大のカポックを買って来て!、と間に合わせに頼んだつもりが、本格的な工作にしてくれたのです。
「動いて、転んだら危ないからね」と言いながら・・・もちろん出来上がった立ち上がりに便利で見事な便座も嬉しいけれど、二人の穏やかで優しい共同作業を眺める事が出来た事の方が一層、嬉しいのです。フミちゃんのパリでの内助、さぞ素晴らしいにちがいない、と確信し胸が熱くなったからです。
尊いものを見せてもらったような夜。