41回、兄弟絶縁・・
宗盛親子を伴い都へ向う義経主従がいよいよ茨の道を踏み出しました。義経さんの胸中を想うと胸締め付けられます。脳裏をよぎるのは数々の武勲、なぜに兄上に届かぬのか?暗い海に船漕ぎ出す大胆不適さえ厭わぬ果敢だった義経さんがどうでしょうか!沈みきった表情です。お徳の
「打ち消しては思案、思案しては打ち消す旅の途上でありました・・」声が胸に響きます。
一方
鎌倉ではやはり落ち着かない頼朝、胸に突き上げる想いは政子の慰めとは大違い、追いやってみたもののまたも疑心暗鬼。宗盛と義経が手を組む事を恐れます。
相手を疑う心の中はまず己の想像の範囲内・・いうなれば自分の邪さの現れなのだが、賢いはずの頼朝もご多聞に漏れず自分の考えをして義経も同じでは?・・・と疑い、ついに最も過酷な命令を下すことになる回でした。
宗盛が道中で語る心境も切ないものです。まさに俗に言う「後悔先に立たづ」の告白が哀れ・・死にゆく運命のひとは皆こうして覚りを開き穏やかに自己分析してゆけるなら「死」もあながち怖くはないですね。「せまい、心がせますぎた・・」この辺をいわぴいさん!巧みです。
重盛の人望に羨望と恐れ、智盛の強さに嫉妬し、真直ぐな重衛に眩しさを覚えた・・と自己分析する宗盛を凝視する義経さんの胸中は・・。
もっとも見せ場は南都の僧兵に捕えられた重衛と輔子の別れでしょうか。
鎌倉恋情さん
が「世界の悪女」と言う本を挙げて女の権力者の残忍を書かれていますが私も読みました。ホント怖い。(笑)それはさて置き、自分を探し求めて叫ぶ妻に気づき必死で僧兵に会見を願う重衛が素敵です。形見を・・と輔子に乞われ何一つあげるものを持たぬ重衛が自らの髪を食いちぎる姿、泣けます。髪の毛など尋常では食いちぎれるものじゃないだけに切羽詰まった男の心情と共に
このシーンは智盛が御座船で明子との今生の別れ!とばかり見つめあう姿、女性側からの平家らしい夫婦愛の視線でした。閉ざされた門の外にくず折れる輔子、哀しくきれいです。
続きを読む…