2005/11/20 日曜日

’しずやしず・・’

Filed under: 大河義経 — patra @ 23:37:04

正直に言います。隠居、今回は泣きました。黛さんの辛抱の演出が実ったからです。

先週のどうにも感想を書けない理由は脚本は言うに及ばずそれ以上に演出の緩さ、緊張感の無さに絶望した事もあるのです。隙間だらけ。
吉次の納屋へ身を隠くす境遇の義経郎党どもの声音、ひそませるでもなく、裏につないだ船、みせるのは良いとしてもすぐ戸を閉めるでもない、あたりを憚る気配もない隙きだらけでずさんな演出に嫌気がさしたわけですが・・・今回流石に黛さん!良く考えられた細やかな展開でした。

静の情報を運ぶ郎党の出入りも必ず戸を閉め、あたりを憚るように声をひそめる・・

こうした当たり前の所作一つでも隅々まで注意が行き届くのとそうで無いのとでは、同じ役者でも雲泥の差、基本を疎かにしていると「絵」は決して立ってきません。

磯の禅尼が尋ねてくる所は、重要な布石になっていて台詞も生きています。義経とのやりとりに女親の気持ちが良く表れているからです。「静の気持ちをどうぞ無駄にせぬように・・厳しい詮議に何も答えなかったのは皆様方の身を庇ってのこと・・」
それでは男が廃るとばかり尚、助け出そうとする義経を「そのお言葉だけで充分でござります」に泣けました。
この時の義経さんの「・・」無言で反芻するような眼差し、辛い男の目になっていました。

佐藤忠信が輿に切り込む姿、これも泣けました。唯一人の武士である忠信が誰をも頼まず、乞食と見紛う姿で連夜の探索をつづけていただろう事が、その扮装からも容易に想像でき「男」の心情が狂わんばかりの責任感となって切り込む姿と重なります。たった独りの孤独な闘いこそ武士たる美学と言うもので忠信らしい最期でした。
傷つき倒れた忠信を翁の機転で運ぶ繋がりも自然です。
「平泉へ行くぞ」と言う声を聞き一瞬輝き、そして死んでゆく姿に泣きました。それにしても何と綺麗な死に顔だろう。

鎌倉でいよいよ頼朝に詮議される静、涼やかで厳しい目、石原さとみさんに終に静が降臨しました。
見事です。ここの無駄のない演出、たたきこむような緊張感。

「是非にお尋ねしたい事が・・・」「聞こう」「御弟であり、平家追討に功ある義経殿をなぜ討たねばならぬのでしょうや?評判への妬みでしょうや?憎しみでしょうや?」それに答える中井頼朝の完璧な間と表情の「・・弟ゆえじゃ」
二人の演技、鳥肌がたつくらい出色でした。
この静の台詞に込められた重さをよくぞ表現出来た天晴れなさとみさん。
出産のシーンも迫真で妖気せまりしかも美しい、舞う姿もこれ以上綺麗に静を撮ることは不可能であろう・・それくらいの緻密さが光る演出でした。

「しずやしず、しずのおだまき くりかえし・・」
今の今まで画面では静と義経さんが「愛のことば」といったようなものを交わさずに居て一体どこにあの狂おしくも有名な恋の歌を詠むことが結びつくのだろうか?
二人の何処にこの歌のような情念が・・といささか心配だった隠居、この歌い舞う静の恋がいかに命がけであったか、しっかりと観てとり又も泣けました。

政子や頼朝の演技を越えた見事な表情などから沢山の想像が膨らむ今回は素晴らしいの一語に尽きる。

山中で追っ手と闘う義経さんに降る紅葉、静御前の舞台に舞う紅葉、あらゆる所に黛演出の冴えが光ります。

我慢に我慢を重ね役の中で育ってくる役者の閃きを信じ、「辛抱の美学」に賭けた黛監督の勝利した石原「静御前」でした。滅茶苦茶泣けました。

無精髭の滝沢義経がどんどん男の顔になるのも楽しみです。

  1. しずやしず・大河ドラマ「義経」第46回

    全体的に、静の表情がいい。石原さとみは意外に腹芸が出来るようだ。台詞がまずいのは年を考えると致し方なし。
    鶴岡八幡宮の奉納舞の場面、食い入るように見てしまった。義経の戦闘シーンとだぶらせて静の舞を見せる演出は、石原の舞のアラをカバーする目的もあろうが、静…

    トラックバック by ひなすけの日記 — 2005/11/21 月曜日 @ 5:42:06

  2. 第46回 「しずやしず」

    ついに佐藤忠信(海東健)が討たれてしまいました
    これで、平泉に無事辿りついたとしても、佐藤兄弟がいないことに、平泉側はどう出るか思いやられる次第です

    さて、義経(滝沢秀明)主従は、京を脱し、平泉に向かいますが、なかなか越前へ行けません。
    かなり手こずっ….

    トラックバック by TOSUのブログ — 2005/11/21 月曜日 @ 5:56:25

  3. 『義経』「しずやしず」

    初めて静役が石原さとみ氏で良かったと思ったよ(笑)。いつもボ〜としているというか、頷き人形みてえで、あんまりこの人物設定が好きじゃなかったけど、今回の「しずやしず」での演技は実に良かったです。毎回、これくらいの見所があれば良いのに。ぶつぶつ……
    しかし、…

    トラックバック by バガボンド・ブログ(漫画、ドラマの感想) — 2005/11/21 月曜日 @ 8:27:21

  4. おはようございます。今回は、感想が拝読できて良かったです!
    忠信については、ちょっと物足りなさを感じたのですが、静の舞は、文句なしでした。
    また、政子の「見事!」と言ったキッパリ感が、とても爽やかでした。
    これくらいのクオリティーの高さが、常にあれば良いのにと思います。
    >すぐ戸を閉めるでもない、あたりを憚る気配もない
    本当ですよね。改めてそう感じました。
    また、 patraさまの着眼のスルドさに敬服します……。

    Comment by U2 — 2005/11/21 月曜日 @ 8:34:57

  5. 義経46おんなの戦い

    いやあ、それにしても今日の東京国際女子マラソン高橋尚子すごかったですねぇ。マラソンは筋書きのないドラマって云うけど、すごい感動のドラマでした。感動しました、義経でも感動のドラマ期待してます、黛りんたろうさん。

    先週「静を救い出して、皆で平泉に参ろう」と….

    トラックバック by ぱるぷんて海の家 — 2005/11/21 月曜日 @ 10:03:44

  6. 義経 第46回「しずやしず」

    ドラマを観る前に公式サイトで
    ストーリーのチェックをしているのですが
    この短い時間でこれだけの内容を描けるのか
    どうか多少不安でした。

    トラックバック by みはいる・BのB — 2005/11/21 月曜日 @ 10:28:58

  7. しずか◎「義経」(46)

    しずかのひとり勝ち。

    愛する人と引き裂かれ、
    子供を奪われた極限の哀しみの中での舞い。
    それも敵のど真ん中で。

    なのに神々しいまでに美しかった。

    紅葉のステージ?に
    義経の映像がオーバーラップして
    ドラマチックな効果抜群。

    忠信、哀れすぎ。
    臨終を見事にキメて…

    トラックバック by 邦画ブラボー — 2005/11/21 月曜日 @ 13:59:59

  8. 「映画は監督のもの」といいます。
    それはどんなに素晴らしい脚本でも、音楽でも、美術や衣装でも・・・
    それを、生かすも殺すも、結局は監督の力量しだいということです。

    ・・・そんなあたりまえのことを思い出しました。
    もちろん役者を生かすも殺すも、監督しだいですね。(笑)

    Comment by 変人です(^▽^) — 2005/11/21 月曜日 @ 16:29:18

  9. 最初に次の記事の猫ちゃんにニヤケてしまったヒロ子です…

    今回の演出も、下手をすれば、セットだけが浮いたり、石原さとみちゃんが浮いたりしたかもしれません。それがこうも美しくキマルとは、演出と脚本と役者がいかにマッチするか、ということなのでしょうか。

    私は、頼朝と静のやりとりに泣きましたToT

    Comment by ヒロ子 — 2005/11/21 月曜日 @ 19:31:57

  10. しずやしず

    「しずのおだまき繰り返し むかしをいまに なすよしもがな」
    NHK大河「義経」後半クライマックスでも三指に入る見せ場の回です。私は義経びいきなので、昔から「吉野山 峰の白雪ふみわけて いりにし人の あとぞ恋しき」とこの唄にまつわる逸話はずっと好きだった。石原…

    トラックバック by あの頃君は美味かった — 2005/11/21 月曜日 @ 23:51:18

  11. >U2さん
    コメント、TBどうもありがとうございます。
    お返事遅れてごめんなさい、今日は息子夫婦が久しぶりに戻ってきたので
    ちょいと側で懐いてました(笑)

    今回は見所が一杯あってどんな端ッコの役者さんもきっちりと自分の存在を役に同化させていました。たとえば静の舞いを見る鎌倉方の武士たちも観客の視線になっていたし、現場に緊張感がありました。

    政子も綺麗でしかも毅然としている。相変わらず説明過多な部分もありますが常にこのくらいのクオリティーがあってやっと見る側も画面に集中できますよね。

    >変人さんまで義経にコメントくださって、うわ〜嬉しいです。
    監督が多数参加する大河のようなドラマは、ほんとに流れを繋げるのが難しいのでしょうが・・・その欠点が目立ちましたね。
    監督が違うだけで優れた役者さんでも「!?」実に怖い世界です。

    Comment by patra — 2005/11/21 月曜日 @ 23:52:39

  12. >ヒロ子さん

    前が酷い分、今回は非常に綺麗な展開でした。
    頼朝と静のあのひた向きな視線と質問でテーマが随分と必然性に満ちてきました。

    ぶれない頼朝だったし、ひなすけさんの仰るとうりに頼朝の描き方も良かったと思ってます。
    泣けました。静の舞いと義経さんの交互のショットも・・静を見つめる頼朝の顔のもう・・見事な事。
    コメントありがとう。秋刀魚を探して3軒も・・の息子たちへのリクエストに答えた楽しい晩ご飯が終わり、また猫ちゃんが食卓で伸びてます(笑)

    Comment by patra — 2005/11/22 火曜日 @ 0:05:04

  13. 「義経」第46回

    「しずやしず」

    静タン最大の見せ場の今日、演出は黛りんたろう氏。力入ってます!
    前フリも凄いよ
    『愛する人に命を賭ける強さが今宵火花を散らす!』

    六波羅に囚われの身となっている静を鎌倉へ移すという動きを察知した郎党たち。「道中を襲って静を奪い返そう!」という…

    トラックバック by ミチの雑記帳 — 2005/11/22 火曜日 @ 8:11:25

  14. こんにちは♪
    Patraさんがまた感想を書いてくださって嬉しいです。
    演出「黛りんたろう」とテロップに出た時から期待はしていました。
    この「しずやしず」が不発に終わったらそれこそ最後にむけての弾みがつきませんものね。
    他の方の感想も皆さん高評価で、やはりイイものはイイと思う心は同じです。
    いろいろあるでしょうが、せめて2回に一回はこういう素晴らしい回があればよかったのにといまさらながら思います。

    Comment by ミチ — 2005/11/22 火曜日 @ 8:14:54

  15. ミチさんの感想をいち早く読んでみましたら、好評のようだったので
    嬉しかったです(笑)
    リンクしたくともずうっと入れないでいました。

    ほんとに心からそう思いますね2回に1回・・それを思うと非常に残念でした、長い企画ものは途中が読めないのでさぞ無念な事もあったのでは、と想像してます。
     さとみ静、しかし良く頑張りましたね、健気。

    コメントありがとうございます。

    Comment by patra — 2005/11/22 火曜日 @ 15:22:23

  16. 義経(しずやしず)

     とうとう今日は静ちゃんスペシャル。最初から最後までほぼ出ずっぱり。{/abanzai/}

     静奪還作戦を練っている一行の下に、茜から静を鎌倉に送る動きがあるとの情報が。まただよ{/face_z/}、だからなんでそんなシークレット情報が町商人のところに流れてくるのさ。{/hiyo_a…

    トラックバック by ザクとは違うのよね — 2005/11/22 火曜日 @ 22:59:36

  17. 義経46回「しずやしず」

    挑む静、受けて立つ政子。京の都に咲いた白拍子静御前と、鎌倉の地に根を張る後の尼将軍政子の闘いぶりは、双方見事といえましょう。闘うは男達ばかりではない。磯禅師といい、凛として強き女達です。

    静奪還を目指す義経主従の元へ訪ねてきたのは、静の母磯禅師でした。
    磯…

    トラックバック by Snow*flakes — 2005/11/23 水曜日 @ 2:05:26

  18. こんばんは、patraさま。
    もうこんな深夜ですが、TBに参りました。
    今回は観ながら終始涙している場面が多くて、とても切なく、それでいて艶やかに美しい印象が強烈な回でした。
    感想書きながら、またついつい涙して、入り込み過ぎてクタクタになってます(苦笑)
    義経と静の情愛にもやっと心情的に入り込めて、その点でも満足でした。

    Comment by 雪芽 — 2005/11/23 水曜日 @ 2:21:25

  19. 大河 義経 46回 「しずやしず」

    「御弟君で平家追討に功のあった義経様を何ゆえ討たれますのか。
    義経様への妬みでしょうや、憎しみでしょうや」
    と頼朝にいきなり大胆な本音をぶつけ、政子には
    「私のことよりも、舞の装束、鳴り物を奏でる腕に覚えの方々、
    鎌倉でそれらをご用意していただけますかど….

    トラックバック by ■■■花壇日記■■■ — 2005/11/23 水曜日 @ 23:01:02

  20. patraさま。
    前回はお手数をおかけしてごめんなさい。
    よかった!patraさまの
    >今回は泣きました。黛さんの辛抱の演出が実ったからです。
    の言葉にもう私も泣きそうです。黛監督の紅葉の演出、素晴らしかったです。これが私たちが見たかった、待っていた黛さんならではの世界です。ただ、忠信の最後が、石原静がよかっただけに自分の中では残念です。
    黛さんにしろ、石原静さんにしろ、己の信念を貫く姿が見えた瞬間、そこに真実や感動が出てくるのでしょうか。画面は正直で怖いと思いました。

    Comment by あじさい — 2005/11/23 水曜日 @ 23:49:36

  21. >雪芽さん
    ほんとに今回はきれいに纏まっていて安心でした。
    あの歌の意味する所も充分に伝わってきましたし、うれし泣きもありました。
    いつも綺麗な文章に纏めてくださってありがとうございます。

    >あじさいさん
    忠信のシーンは、あれで充分だと思います。他に重要なシーンが多いので
    あっさりとした分、扮装に苦しい道中や心情がこめられていますから・・想像することが出来ますね。余白を楽しむとでもいいましょうか。
    狐忠信が有名ですが今回は、静と頼朝のやり取りが何といってもメインテーマなので切って捨てないと又も全体がボヤける事になる(笑)
    あのエピソードの多さにしては完璧だったと言い切りたいです。
    役に命を賭けたのでしょう。18才で女優根性に目覚めるなんてさとみさん実に大物です。
    見抜いた黛さんが凄い。ベタ誉め(爆笑)コメントありがとう♪〜

    Comment by patra — 2005/11/24 木曜日 @ 2:30:14

  22. 今回はおもしろくみれましたねぇ。
    紅葉の落ちるさまもとっても見事でした。

    Comment by ryi — 2005/11/24 木曜日 @ 21:30:46

  23. 大河ドラマ 「義経」 しずやしず

    今宵、静が頼朝の前で舞います。

    トラックバック by 雨ニモマケズ 風ニモマケズ — 2005/11/24 木曜日 @ 21:31:41

  24. コメントありがとうございます>ryiさん

    紅葉に託し二人の心情とせつなさが良かったですよね。
    あと少しですが応援してください。

    Comment by patra — 2005/11/25 金曜日 @ 1:25:33

  25. 第46回「しずやしず」

    前回とは別のドラマであるかのように印象的な場面が多く、
    やっと安心して視聴できました、、。
    忠信の最期の所業は何の成果も生み出さないものではあったが、
    それが逆に義経への忠

    トラックバック by FIG JAM — 2005/11/27 日曜日 @ 3:40:41

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