スープの会
情熱大陸を見てはじめて辰巳芳子先生の偉大さを実感できました。お声がすばらしい方だった。
去年、偶然御会いした料理の仕事をなさっている方に、「スープの会」を主宰なさっている辰巳先生はどんな方ですか?とお尋ねしたら「先生は別格です。天皇です」そうキッパリと断言なさってらしたのが印象深かった。別格は解るとしても天皇と表現なさる意味だけが少し計りかねていました。
ところが昨日のテレビ画面から拝見すると今まで静止した写真や雑誌のみで感じていた印象よりもはるかに暖かさが伝わるお人柄とお声だった。天皇・・つまり本物とその方は伝えたかったのではないでしょうか?
出汁をひく・・という言葉さえ知らなかったし、料理教室に通うチャンスも無く自己流にせよスープに心を込めるように成ったのは雑誌や本で読む先生の数々の言葉に触発されてのこと。辰巳先生の「スープ」に命を込める料理教室は3年先きまで埋まっているという、1度でも良いからその人気の秘密も学んでみたかったのだが気魄のようなものはしっかりと画面からも窺えました。
料理を極めるとどんどん謙虚になる..先生の言葉、天恵のように耳に響きました。
先生のス−プの原点は病気の父上に差し上げるスープからだそうだが、私は健康を約束出来なかった息子への詫び心からだ・・・どっちらも愛情が隠し味にかわりがない。
料理を媒体に本当は人間学を教えてくださっているように私には感じられた。
擂り鉢一つ扱うにも大切な材料を無ヤミに広げてコネクリ回してはいけない、そうプロの料理人にも教える言葉は昔、祖母から聞いたことばと同じだった。祖母から母、母から娘へ・・洗い方から道具の扱いまで、当たり前の事をズボラに端折るから現代に伝わらなくなってしまった手をかける事の大切さ。
日常生活こそ精進せねば・・・。箸の先に巻いた布巾で鍋についた灰汁を拭き取る様子にただただ怖れ入って画面に頷くばかりだった。