女のドラマ
日本に着いても色々と仕事の息子、上にいるのに2日も一緒にご飯を食べてません。
時差で苦しむフミちゃんに鰺の干物やビーツの茹で汁を利用した牛筋肉のスープを差し入れて、そっとして置く・・
お陰で、かねてから興味のあった3夜連続のTVドラマ「女の一代記」の最後まで堪能、杉村春子さんまでを観る。
全部観たあとの感想は、なぜか一番、難しいと思った宮澤りえさんの演じた瀬戸内晴海さん、いや寂聴さんのドラマが一番面白かった。まだ現存していらっしゃる寂聴さんの生き方・・「出家する事は生きながら死ぬこと」と説法で語る寂聴さんに充分な生命の輝きがあるからだろうが・・・テーマが明確なうえに女優としてりえさんの覚悟が見事だった。
りえさんは婚約破棄のあと色々事件があった直後の玉三郎演出、パルコの舞台、連日楽屋に届けられるバラ1倫の話しは有名で当時ヘアを担当していた私の友人に良く聞いていたエピソードだが、そのバラの贈り主の息子さんと恋人同志で競演する姿にも、りえさんの女優として辿る運命を強く感じてしまいドキドキが複雑に重なってスリルでした。
大昔、演劇やコンサートの会場で良く瀬戸内さんを目撃する偶然があったのだが、あのように売れっ子の作家さんがお連れも無く一人、毅然と立っていらした姿は非常に目立ったものだ。綺麗な着物の立ち姿が寂しそうだったが「秘める恋」は決して幸せとは成らない事を寂聴さんのドラマでさえ立証している。
それがどうだろう!今は沢山の信者に囲まれた墨染めの法依姿、その明るい笑顔、張りのあるお声、どこにも陰りが無い寂聴さんの現在。長く生きて初めて解る人生の不思議をつくづくと見せて頂きました。
「それでも人を愛しなさい。」大いなる矛盾説法に思わず拍手。思い出は、そりゃあるほうが良いにきまってるもの。
続きを読む…