2006/4/18 火曜日

ぼくセザール10歳半1メートル39センチ

Filed under: 感想 — patra @ 1:16:21

ぼくセザール10歳

夕食まで時間があったのでム−ビ−チャンネルで「ぼくセザール10歳半1M39cm」・・・と言う長いタイトルのフランス映画を観る。

この映画の主人公、パリに暮らす少年、10歳半、お菓子好きのポッチャリしたセザールの眼線を通して描かれる大人達は、決して優等生な大人じゃないところがリアルで好もしい。
セザールとクラスメートのリサとモルガンのちょっとした冒険のお話だが、しっかりと大人達を観察している様子が面白く、終には真剣に仲良く生きる事について深く考えさせられました。

セザールの父親は次ぎの出産を控えた妻を労る一方仕事が思わしく無い悩みを抱えての苛立ちからセザールの話を聞こうとしない。
セザールが憧れる美しい同級生、サラには、お銚子者で何事にも全力投球するのだが、結果は浮きまくるパパが居る。恋人を新しい母役としてサラに認めさせようと必死なパパ。セザールの恋敵でもあるモルガンは堂々として完璧な男の子なのに、実は雷が怖い。看護士の母に育てられ生まれてからまだ1度も父親と逢っていない・・その故か嵐の中、独りで留守番をするのが怖い弱点をセザールとサラの前に暴露してしまう。各々の悩みを知って仲良くなる3人。この3人組みが一致協力しロンドンまでモルガンの父親を探すべく旅にでるのだが、記者をしている事と名前だけしか知らない父親探しの3日間の旅。

ロンドンで出会う人々の設定が実に現代世相を反映していて興味深かった。食い詰めた同性同名の中年男、軟弱そうで暴力的な青年。
一見アウトローに見える実は親切なパンクおばさん・・・彼女の描き方の中に大切な「人」としての愛の基本が表現されていてうれしい。モルガンのお父さんの描き方にも救いがある。勿論再婚し子も3人も居るのだが、その家族の見せ方に説得力があるせいだろう。ラストのセザールの台詞の中に、映画で表現したかった全ての想いが凝縮されている粋な仕掛けになっている。タイトルもその台詞に因るものだった。

我々大人は、つい、子供時代に自分がどんな風に親を観察していたかを忘れ、自分達こそ正しいオトナのつもり・・・と図々しくも錯覚してしまう。けれど親になる動機はけっこう不純、つい気紛れな恋などから子を成し大慌てで親に成って行く人だってある。それ相当の自覚や覚悟が有って親になる人の数よりも、知らず知らず親に育ってしまった人・・・そんな無自覚な一人である私もセザールのような子供に因って育てられた親の一人かな。

既に充分に大人である息子を未だに子扱いし「それって、まるで悪いお母さんの典型みたいじゃないか、最近の君、お婆ちゃんそっくりになって来てるよ」と抗議されてグサッと言葉が胸に刺さり赤面したばかり。

世界中の子供達が良いオトナに育つには元子供だった筈の親が、記憶を呼び覚まし、何度も耳傾けて子供達の嫌った大人と自分自身が出会う訓練をすべきかも・・・同じ轍を践まないようにしなきゃ人として進歩する・・大事な意味がなくなってしまうもの。
とても楽しい、好きな映画でした。


  1. ちょうど子どもと一緒に見たところでした。
    ステキな映画だなって思いました。
    ほんとうは、子どもでも分かるシンプルな法則で人は繋がっていて、
    ややこしくするのは大人の細かな常識や、忘れてしまった純粋な心だったりしますよね。
    「歳を重ねる事に、心をがんじがらめにしちゃってませんか?」
    って、問いかけられたような気がしました。
    必要以上に傷ついたり、くよくよしたり。
    子どもに学ばねば。
    「なんで直ぐ忘れるの!」「なんでおかあちゃんは、いちいちそんなことまで覚えとるの?」
    愛さえあれば、子どもの気遣いでも十分なのかも。

    コメント by みさちん — 2006/4/18 火曜日 @ 14:03:31

  2. >子供がちゃっかりとタフなところがとっても可愛い映画でしたね。

    さきほど心配のあまり行き着けの美容院、いったばかりなので怪しいとおもっても
    つい心配で電話しました。案の定来ていません、とのお返事。

    ところが6時過ぎに戻って来ましたが、親戚と一緒に自分の妹のお墓まいりに吉祥寺まで遠出したのだそうです。「メモを書いた」と言い張りますが何処にも見あたりません。
    朝、ちゃんと私と言葉も交わしているのにこの行き違いは一体どうした事が原因なのでしょうか。
    10:30分に送りだして普段なら病院からお昼前には戻るのです。

    黙ってロンドンへ出かけたセザール達、親の心配はいかほどのものだったか?
    母で疑似体験するとは・・やれやれでした。

    コメント by patra — 2006/4/18 火曜日 @ 19:51:26

RSS feed for comments on this post.

© 1999 - 2023 Patra Ichida, All Rights Reserved.