「失礼ですけど、貴女は何処がお悪いの?」そう声をかけてくる同室の患者さんもいるくらい、はた目に私は元気に写っていたようですが、只の骨折にしてはどうも松葉杖練習もせず、何処をどうしたの?と疑問を持たれたのです。
看護師さんさえ「申し訳ない不勉強なんですが、何故イチダさんが立ち上がりが不自由なのか、始めは分かりませんでした」とお風呂介助の時にも言われました。
普通の骨折患者は骨が付かなくとも松葉杖の練習をし歩くことは、両足不自由でも、結構上手に出来るものなのに、手の力も弱い私は「一般的」なリハビリはかえって危険なのだ。ピックアップで歩行練習するにも肩に力が入ってしまう。
つまり腕や脚の骨の力で立っているようなもの・・・腕も手の平も真っ赤になってしまうくらい負担がかかるのです。
先天性ミオパチー患者が骨折し入院するのは、きっと病院側も初体験なのでしょうから、こうなったら自分の身は自分で自宅リハビリをしよう・・・と伝えると、
「え〜珍しいですね、皆さん,病院から出るのを嫌がるのに・・」リハビリ療法士の先生が驚きます。
いくら病院で慣れても自宅で慣れなくては意味がありませんから!と私も腹を決めました。
早速、アビリティ−ズ社に電話を入れておいた座面が高くなるグッズ等を病院へ持ってきてもらう事にしました。
リハビリグッズではブランドとして有名なアビリティーズ社はすぐにデモ商品を山にして病院へ運んで来ました。何事か?と目を丸くする看護師さん達。
車椅子は今まで座ぶとんを敷いて座高を上げていましたが、空気圧で座面を高く調節できるロホ・クッション、弾力があってとても具合が良いので、10センチの高さを自費でお借りしました。本来ならば病院に備え付けてあってしかるべきクッションなのです。
これを車椅子に敷いて立ち上がりを練習したら、手すりに掴まりながらもその日の内に立ち上がれました。レンタル料は月5千円です。
其の時、座面から立ちあがるバネ状の跳ね上げ式とかも推薦されたのですが、脚がしっかりしていない私には、かえってバネの勢いが怖かったので、これは却下。
滑り止めのシートも奇麗な緑色のチェックを自宅用に2メートル購入。日本製と違い洗っても効果が落ちない上に汚れも付きにくい利点がある置くだけの(接着剤なしの何度でも剥がせる)シートです。
私が欲しかった椅子、自動で上下しブレーキが手で届く範囲にあるアメリカ製の事務椅子がやはり気に入りました。回転に85センチあれば良い小回りが利く椅子です。
問題は値段、自費で購入するには2拾数万も掛かるのです。
介護保険で借りるには、障害の判定が2以上なくては借りられません、その判断は担当医の診断書を元に区役所が査定をするので1ヶ月ほど時間がかかります。
担当医に書類をお願いをする。
「それは退院する時でしょ!」・・もう待てない私。
続きを読む…