2004/9/14 火曜日

若いうちに読むとお利口に!

Filed under: 感想 — patra @ 2:31:19

70歳からのひとり暮らしエッセイとは人の魅力で選ぶものがほとんどだが、今回手にしたのは遠藤順子さん。名前だけでは全く存じあげないお人。実は作家、遠藤周作さんの奥様である。この本を借りてきたのは吾が母。86歳なんだから何を今さら・・・なのだがタイトルが『70歳からのひとり暮らし』老母の好奇心に笑っちゃう。私は常日頃、あぁ、何時に成ったら御気楽一人暮らしが出来るのかしら?とぼやいていたが、敵も同じ思いであったのか?、とこそばゆい。34歳で両親と同居を再開してから早28年も密着して暮らすのはお互いが結構ストレスになる時もある。どれどれ、と広げて数行読んで、又拾い読み・・・と突然にあるページの見出しに釘づけになった。「家族と同居しているおばあさんの自殺率が多い」とか「お嫁さんにとってお姑は存在するだけでストレス」とか物騒なのだ。
座って落ち着いて読むことにした。

やっぱり随所に遠藤周作先生の影が、いや教えが沢山散りばめられていて、傑作なのは「十八歳になった息子に母親は有害無益」とある。いや全くそうだった。我が家は十八歳を待って、息子を大学入学と共に強制下宿させたのだった。べったり、と思われるのは実に心外なのだ。周作先生の教えを私も図らずも守った事になる。曰く「息子が30にもなれば、母親を哀れみの目で見てくれるよ、それまで待て!」

色々、傑作な見出しがあるが一番心に残ったページは「できちゃった婚、もいいけれど」の中の周作先生の言葉・・・<「たとえ身体障害者の子どもが生まれても必ず育て上げよう」と約束しました。主人は、当時まだカソリックじゃなかった私(作者)が、もしそう思ったら大変だと思って切り出したことでしょう。この約束はある意味で、子どもを産む母親にとって勇気を与える言葉です。・・・・>というくだりです。

私の所へ相談に見える御夫婦の悩み、大半がこの点です。思うに、悩まれるようなら不適切だとお伝えします。弱い心を端からお持ちなので、乗り越えさせようとするために神はあえて試練を用意なさる・・・修行を拒否する親の元ではどのみち健康な子でも幸せにはなれないのですから・・・と。

学生の時に遠藤先生の講議を受けておいて良かったな、と懐かしく、あちこちに失われつつある父権が確立してて、若い女性こそが読むに、尤も役に立つな、と思いました。歳をとってからでは遅過ぎる教えばかりです。
祥伝社発行。

さりげなく卓上にこの本、置いておく母もつわものです。

RSS feed for comments on this post.

© 1999 - 2019 Patra Ichida, All Rights Reserved.