2004/11/21 日曜日

男気

Filed under: 人物 — patra @ 2:22:56

今日でラストの「弟」を見て考えたこと。

昨日のシーンで初めて私が渡哲也さんのファンになった理由を改めて理解できたように思った。
息子の交通事故で暫く休んでいた私の仕事復帰は、確かシャープだったが、もう一つは渡哲也さんの「カゴメトマトジュース」だった。これは高橋靖子さんへ来たお仕事で、彼女の都合がつかずに、代わりに私を紹介いただいた。
製作打ち合わせの為に調布、日活の近くの石原プロへ出かけた私は、プレハブ小屋を、多分手狭になって2棟を連結したであろう段差のある質素な事務所に、まず驚いた。砂利の敷かれた敷地には撮影に使われる小道具、バスタブなども乱雑に放置され、スタッフも男ばかりが出たり入ったりと落ち着かない。

今思うと石原プロが立て直しに必死な頃で、渡さん始めスタッフ全員が一致団結していたのだ、とドラマで初めて知り納得した。

今回のドラマにはそのプレハブの事務所が忠実に再現されていて、しかも、そこへ渡哲也さんが尋ねて来て石原プロの窮地を救う重大な話になっていたから・・・あぁ、そうだったのか!と胸が熱くなったのです。

渡さんが気持ち良さそうに飲むトマトジュースのCMは評判が良く、私の担当するのは浴衣姿の渡さんと、やはり浴衣の坊やが湯上がりに縁側で飲む設定だった。

撮影は2日に渡り、最初は子役の坊や、次ぎの日は渡さん一人の夕焼けのマンションシーン。
石原プロに在ったバスタブが運び込まれた日活のスタジオ。
「これは何のためですか」お湯のシーンは聞いてないので製作担当に質問すると、
「渡さんが、お腹を壊すといけないのでトマトジュース、人肌に暖めるのです!」と答えが返ってきた。
成る程! 浴衣で美味しそうにゴクゴク飲むシーン、皆さんは何度もご覧になっていると思うが、実際は、何テイクもする過酷さなのです。
飲まない振りを絶対になさらないスポンサーへの礼節を心得ている渡さんなので、スタッフが気を利かせる必要があります。

肺を痛め病後だった渡さんへ現場のスタッフ総動員が見せる気の使い方は目を見張るものがありました。

なんだろう、この尋常ならぬ気の使い方と結束は!...

そして翌日の撮影で、私は一つミスをしてしまいました。

休んで居た分、勘が鈍り、打ち合わせで聞いていた「バスローブ」を買い忘れてしまったのです。
お昼休みの間にデザイン会社の女子社員が、私が目星をつけていた茶色のバスローブを買って銀座から調布へ届けてくれる事になりました。
朝の内のシーンは終わり、昼食が終わってもまだ届きません。ひやひやする私はスタッフ全員へ謝って回りました。
もちろん渡さんの所へも....「だいじょうぶですよ」とにっこり、そしてスタジオの外へ出ると上半身を脱いで日なたぼっこを始めたのです。アイスクリームを差し入れられ美味しそうに食べながら。その回りを石原軍団のスタッフがぐるっと人垣になって渡さんを人目から隠します...。
健康に関しても凄い気の使い方、寸暇を惜しまず発想の転換をする見事な集団に、ちょっとあっけに取られたのが正直な所です。

昨日のドラマ「弟」を見ていて小林専務はじめ、ロケバスのお兄さん、端役の人に至るまで全員の心が一つだったこと!すごい結束力だったこと!を改めて知ったのです。

バスローブが届くと、勢い良く立ち上がりサッ、と裸になって偶然にもローブと同色の下着一枚の上に羽織り、にっこり笑ってカメラに向かいました。

収録の最後にいくら間に合ったとは言え、失敗は失敗の私の気持ちを、軽くする意味でしょうか『このボーダーシャツ、自分が買うよ』と労ってもくださったのに、ちゃんとお礼を言ったかどうか?。

「はぐれ雲」やその他、温かい人柄の滲み出る演技は「西部警察」とは違う意味で渡さんらしく好きでしたが、今回のドラマ「弟」を見てやっとその魅力の大元であるその育まれた原点がボス裕次郎はじめとする同じ釜の飯意識の男っぽい友情に触発された美学だった!と知って、なるほどな〜と思ったのでした。


  1. こんにちは

    patraさんのそんな経験を知りながらドラマをみるとまた一味もふた味も違ったものに見えてくるんでしょうね。
    残念ながら、ここのところ会合等がつづいて、テレビを見ていません。
    ああ、なんか最近テレビみてないなあー
    人気のドラマだからきっと再放送もあるでしょうね。
    そのときは逃さず見ることにしよう・・・

    コメント by rosemary — 2004/11/21 日曜日 @ 16:02:34

  2. TVはしっかり観る隠居です(笑)
    日曜は忙しい、ちびまる子ちゃんとサザエさん!NHK教育の「兵馬傭」「弟」に
    「情熱大陸の田場裕也」凄いでしょう。(爆笑)

    あの当時、最も苦手な仕事が芸能界、しかも軍団、御会いするまで良い印象は持っていなかったのです。
    裕ちゃんのファンでも無かったし、そんな気の弛みが忘れ物になったのでしょう。
    スタッフも誰も文句を言わずに素晴らしい対応で、目からウロコでした。

    ファッション、ファッションと目先ばかり追っていた自分の薄っぺらさをしみじみ
    反省したもんです。
    あの時の若く美しい渡さんの素晴らしかったこと・・・病後も頑張られている姿に頭が下がります。

    コメント by patra — 2004/11/22 月曜日 @ 1:00:51

  3. patraさん、こんにちは。
    今日はとても気持ちのいいお天気でした♪
    ところで、こちらの記事に関係ない話題なのですが、
    あの行方不明になっていたチャトランが無事に保護されました。
    ほんと、よかった。ご報告まで、でした。

    コメント by サハラ — 2004/11/23 火曜日 @ 15:57:23

  4. あぁ、あの太ったかわいいトラ猫ちゃんですね。
    良かったですね、サハラさん。
    あの捜索隊の人や家族の愛が呼び戻したのでしょうか?
    猫は自分が病気だと、人知れない場所で治るまで隠れる習性もありますから

    寿命があったのだな〜!と。

    嬉しい報告をありがとう。
    サハラさんも
    新しいブログを楽しんでくださいな。

    すぐこんな時間になってしまうこの頃です。

    コメント by patra — 2004/11/25 木曜日 @ 2:29:56

  5. 渡さんのお名前を間違えてしまい
    お直しを直ぐにしたのですが検索で見ると、そのままです。
    正しくは「哲也」さんです、キャッシュが効いてしまっているのだと思います
    誠に申し訳ありません。ごめんなさい。

    コメント by お詫びjovanni — 2004/12/2 木曜日 @ 3:53:22

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