2008/3/26 水曜日

BOBBY

Filed under: 感想,時代 — patra @ 4:49:14

51jtul8kxdl_ss500_.jpgこのあいだ偶然見た映画,アンソニーホプキンスの表情がすごく好きだったので,タイトルを知らないまま見てしまう。

あるホテル,たぶん実名のホテルでの1日、ここの従業員、お客、オーナーなどがそれぞれの持ち場,炊事場だったりロビーだったり客室だったり美容院 で繰り広げられる小さいエピソードに60年代を反映して面白い。見て行くうちに、それが大統領候補を選ぶ市民参加のパーティが開かれるまでのホテルに集 まった関係者達と解る。その重要人物をサポートする一行、講演会を待つ、それぞれの立場の人物が何の脈絡もないようで、しかし巧妙に仕組まれたパズルのよ うに、抱えている問題まで浮き彫りにされてゆくのには舌を巻いた。脚本が良いのである。無意味なエピソードの連続が時間の経過を現し最後、実はロバート・ ケネディが,狙撃され銃弾に倒れる瞬間の、その場に居合わせた関係者や被害者達だと解るまでのラストは圧巻。実際のロバート、愛称ボビーの映像をじょうず に交えながらエンターテイメントに仕上げる力量が鮮やかだった。ボブの演説が流れるラスト・・彼が生きていたらアメリカはどうなっていただろうか?と思わ せる内容と何が起こったか解らないホプキンスの顔。ホテルの厨房で兇弾に倒れた、という事実さえ知らなかったが、タイトルを見落とした結果、より楽しめた のかもしれない。

ホテルオーナー?にアンソニー・ホプキンス、アル中の歌手にデミ・ムーアー、美容師にシャロン・ストーンといった豪華なキャスティングが誰?というくらい嵌っているのも見所。それにしてもアメリカの脚本家のストライキはその後どうなったのでしょう?

羨ましいのはこうした史実を素材にさりげなく一級料理に仕上げられる彼等の力量と層の厚さだ。FOX TVのB級ドラマでも深層心理まで食い込む脚本に、ときどきハッとさせられることがある。


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