2004/10/11 月曜日

兵馬傭にみる「無名」

Filed under: 感想 — patra @ 5:18:11

きのう、また「英雄 HERO」を見て再度、感激する。※ネタバレ注意!

ラストで壮絶な死を遂げる刺客「無名」の葬列に兵士たちがあげる雄叫びが「覇王、覇王!」と聴こえたのだが、そうだったら嬉しいな、と思う。丁重に葬った・・とテロップがでていたが、いつも肝心なところが訳されていないように思う。礼節をもって倶すならば、万兵の称える言葉はどんな意味をこめるのだろうか?それをこそ知りたいのだが・・・しつこいかしら。

「どうか罰を、例外を作ってはなりません」と忠臣の進言を受け、始皇帝が手を振り刑を決断するときの一瞬の躊躇が、凡から非凡への一歩踏み出す瞬間だと言えまいか?。剣という文字の真意、知力で理解しても長(おさ)となる人間は蟻の一穴さえ用心する必要があるのだ、とても私情は許されまい。砂に書いた天下という文字の意味がここで初めて大きく活きる。刺客「無名」が鎗ぶすまになる瞬間に皇帝が始皇帝として完成したのだ。

俳優の顔、眼、演技を越えて、脚本の良さが、さもありなんの説得力をもって何度でも楽しめる。様式美のみ強調されて物語りが単調だ、と若者の間で言われているようだが、歴史を知って見ると総べてに緻密な計算がされていて流石に四言絶句・七言絶句のお国柄だ、文言の意味が隅々に活かされている傑作だと思うはずである。

しかし「例外」とは何なのだろう。常に都合が良いことばだが・・・。

今、上野の森美術館で秦の始皇帝の造った大兵馬傭展が開かれているのをご存じだろうか?大変に混んでいるらしい。この膨大な陶土の兵達は始皇帝の墓より出土されている。司馬遷の物語、史記の中だけに記述されていた始皇帝陵!が存在していた!と言う事も証明されている現在。こんなとてつもない物を創った男にも「例外」は無く死は訪れるのだが、永遠不滅への情熱が万里の長城や兵馬傭となって現代に甦るのだから歴史好きにはたまらない展覧会だろう。「英雄」とはこの歴史上の人物に、唯一十歩の距離まで近づいた男の寓話、実在したと伝わっている。兵馬傭兵士がただの泥人形では無く、一人一人がこの精鋭と重なる、実在のモデルがいた気がしてならない・・・。タイムリーな企画だと思う。来年の1月3日まで。


  1. もうほとんどの人が見ている、と前提で書いたら、さっそく叱られた。まだ見ていない人ごめんなさい。

    コメント by patra — 2004/10/11 月曜日 @ 8:58:41

  2. えー?べつに叱ってないけどオチが目に飛び込んできちゃうから分けた方が親切かな?と思っただけで。
    昨日地上波のゴールデンでやったとは知らなかったし。

    コメント by kyo — 2004/10/11 月曜日 @ 10:05:26

  3. おはよう!patraさん
    「英雄HERO」・・・観て見たくなりました。
    逆に兵馬俑は先日行ってきたので、逆コースですね。
    先日、Kyoさんが、顔出してくださいましたよ〜♪

    コメント by SAGAN — 2004/10/12 火曜日 @ 6:41:48

  4. おはよう〜♪
    トラックバックしてしまった〜
    なんせ共通の話題がずれるでしょう、狙いです。
    書き込めない、と愚痴ったので調べに行ってくれたみたい。
    本も買っておかないとダビンチコードだっけ。
    ルーブルは迷路だらけらしく、カメラが壊れる呪の部屋もあるって噂ですぜ。

    コメント by patra — 2004/10/12 火曜日 @ 7:10:55

  5. 覇者とは侵入者、他所ものの事です。
    その他所ものである刺客が、強く英雄のように尊敬できる存在だった!と知れば
    「覇王」として万兵が称えるのじゃないか?と思ったのですが
    どなたか、ご存じの方いらしたらお教えください。

    コメント by 研究jovanni — 2004/10/15 金曜日 @ 6:19:52

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