後十日ほどで日本に帰ってくるらしい息子達。何も言ってこないのは忙しいからですが閑よりは良い事と思っています。ただ日本に帰ってきても仕事の打ち合わせなので忙しいのには変わりがないらしい。しかもすぐ又パリへ戻ってしまうらしいのです。
引き出しを整理していたら今から20年前の息子からのハガキが出てきました。ふろく・・・と 書いてあり裏は可愛い猫が二匹麦わら帽子に納まっているポストカードです。きっと急にパリに残る事になった頃の慌ただしい連絡事項の手紙だけでは気がひけたのでしょう。ふろく・・・の文字が私を喜ばせる彼のきもちが滲みでてました。すっかり忘れていたけど当時はメールもない時代なのでどんな小さいエピソードでも手紙が来るだけで家中たらいまわしで読むためにコピーを取っては1階の老人たちにも読んでもらっていたそのコピーです。
こんな内容でした。
「僕はCHARLES DE GULLE ETOILからSt.-German-des-Pres に在る学校に言葉をならいに通っています.行く途中、CHATELETで乗り換えるのですが,ホームに出る階段を下がった所に,一人の婦人がちょこんとすわっています。
45〜60歳くらいかな
いつでも同じ場所で同じ格好ですわっているので,電車がすぐ来ない時は、1fだけあげます。するとうれしそうに微笑んでくれます。そんなことが6、7回 くらいかね、ありました。くせになるからやめろという者もいますが、It is not your cup of teaです。昨日は階段降りたらすぐに電車が来たのですが、あわてるのがいやなので一つ乗りすごしておばちゃんに1fあげました。するとすこしすまなさそうにMerci beaucoup,monsieurとゆいました。
今日は外は雨降りでとても寒いです。Cafeに入ると高くつくのでMetroへ行きました。学校にはだいぶ時間があるし,一人でボーっとしていてもつまらないので、そうだ、あの婦人と、というよりはおばちゃんと 何か話しをしようと思いつき、CHATELETへ行きました。いつものように階段を下りて行きました。が、そこにはだれも居ないのです。おばちゃんカシを変えたのでしょうか?何だかとても寂しくなってしまいました。
ps
次ぎの日行ったらばおばちゃんちゃんと元の所にちょこんと座ってました。まるで昔の知り合いにでも会ったようにおもえたので1fに20サンチームのおまけつきであげました。 けれどもお互い微笑むだけで会話はできませんでした。ふふふ、これが現実さ。but now,I’m happy』
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息子が22歳くらいの時のパリでの地下鉄の出来事です。小さい文字でびっしりとハガキの余白いっぱいに書いてきてくれる彼を・・・おもらいのおばちゃんと話そうと試みる彼の心を好きだぞ、と思ったものでした。足が不自由でも心配ないとその時、確信しました。
今もパリでお嫁さんと暮らしている息子は私の知らないところで沢山の であいをしていることでしょう。それで充分です。離れていても心の中はぽかぽかしているのはこんなハガキをそして今は入院中も励ましメールを沢山いただいてるからです。しかももう一人じゃないフミちゃんと一緒。雪もすぐに溶けるかもしれませんね。