兄との約束
死について考える年齢になったからかそうしたテーマの映画は暗くなるので避けていた。
ところが一昨年の父の死の僅か20日間ベッドにいただけでの呆気無いが見事で、潔い死を見届けてからは自分はこんなに格好良くは行くまいと思うが?自分の死を想像するのも大事な時期に来ているのじゃ無いか?。
この所、ム−ビ−プラスで立続けに放送する映画が「海を飛ぶ夢」だったり、「兄との約束」と言った「死」をしっかり捉えたテーマなので遅まきながら夜中だが見てみる事にする。
居眠りして巻頭の何分かを見逃してしまうが良い映画ではあったが・・納得しない。
少し特殊なシチュエーションにしないと何故、疎遠になっていた弟リュックが兄トマの不治の病室に呼ばれ最期を海辺で一緒に暮らすようになるか・・・きっと描けなかったのだろうと思うが、この二人の設定が綺麗ごとになっていて病と闘うという姿を希薄にしているように思う・・。
一番リアルだった事は不安のあまり父親が「なぜトマが病気で、お前じゃないんだ!」と弟リュックに向い罵る場面だ。母親が呆れて「あんた何を言うの」と必死で取りなしても「お前(弟)は丈夫だから病気になっても何とかなるがトマは・・しかもトマは他人事みたいだ!、これでは治るものも治せない!!」
病室で大騒ぎする件だ。家族、という一見強固にみえる集合体の弱さが良く出ている。
再発なので怖い・・それだけの理由で逃げ腰の兄トマと恋人の関係や兄と弟のやりとりから共感は何も無く、それより弟と同棲しているヴァんサンの他者へのやさしさや廊下で点滴を下げたまますれ違う若い患者の思いつめた目・・・体毛を剃る必要以上に丁寧な描写などから「静謐」な匂いがたちあがるだけでラストまで他人事のようにボーっと見終わった。
結論は結局「死」は非常に個人的なものだ!と言う事。お手本のような「死」はありえないのだがどう生きたか!?といった類いの映画の方が遥かに有意義だと思う。今この瞬間を誠実に生きる・・・それがやっぱり大事かな。