2006/3/14 火曜日

春夏秋冬そして春

Filed under: 感想 — patra @ 4:28:46

恐ろしい映画。

何年か前、アメリカの友人から素晴らしいと推薦を受けていたのにゆっくり観ることが出来なかった映画を明け方やっていたので見る。
こんな時間帯なのは表現に一部R指定があるせいだが、そういった類いの映画ではない。

正直言うとおそろしい、ひさしぶりに息を止めるおもいで観終わった映画です。韓国のキム・ギドク監督という人の視線、感性がとてつもなく深く、その美しさにおそろしいものを感じたのです。この重く美しい映画を作る土壌がある韓国、その国の大人度が羨ましくこわいのです。日本映画人は負けますね、その事を恐ろしいとおもうのは私くらいなのでしょうか。

春夏秋冬そして春
四季の移り変わりの中、池の真ん中の浮島の寺で老僧と暮らす幼児が、自然を遊び友達にして成長してゆく姿・・・子供特有の残酷さと遊びの境目がなくなり魚や蛙、蛇に無邪気さを越えた奇想天外な発想から終い殺生をしてしまう。
ジっと子供の後をつけ様子を窺う老僧・・・笑い声をあげて生け贄を弄ぶ坊やの汚れない顔、もう此の辺りから観ていて胸が苦しくなるのです。
大人の確かな倫理観無くして「命」の教育はできないものだが自ら子に悟らせる様子が儒教ならでは・・・しかも胸に刺さる教えに坊やの嗚咽がせつないのです。

四季の移り変わりとともに成長する少年の身に起る因果の業、再び運命を迎え入れる晩年までの顛末が美しい景色と共にほぼ無言劇のように繰り広げられる、ちょっと他に比べるモノの無い、見終わると同時に胸が苦しくなる。

この映画の底に流れているテーマの重さを若い人は充分に理解出来ないと想う、が全ての日本人が此の映画の持つ本質を理解し感じ取る能力を持っていてほしい、と切望しました。
世界の映画人から熱い視線を浴びるギドク監督の「悪い男」も遅まきながらぜひ観てみたいものだ、息子達は既に観たのかしら、春夏秋冬そして春はお薦めです。 。

韓国という国の凄さ、野球でも感じた事だが、指導となると何か凄いものが有る。

鍛練する為のノウハウは、先日のジュニア世界大会のフィギュア・スケートでも浅田真央選手を破った韓国の胆の座った15才のキム・ユナ選手が大人っぽく見えることを決して怖がらないコスチューム、その大胆な練習方法にも感じたのだが「うつくしく」見えるとは「中途半端」を排除すべく徹底した分析から、はじめて人に訴えかける力を持つ。指導する立場の者にも圧倒的な根性が要求される。映像や歌唱にスポーツ全般に拘わる全ての求道者は「師こそ要」を会得しているような気がする。つまり韓国人は全員度胸が座っている!と。此所の教育って何?を少し覗いたような映画だった。

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