2005/11/30 水曜日

母の鑑

Filed under: 感想 — patra @ 6:52:56

帰国早々仕事漬けの息子が夕食に降りて来た時「大学の先輩が本を出したのが評判が良いらしいので買ったんだけど、忙しくて中々読めないから良かったら先に読む?」と一冊の地味だけど品の良い本をかざし私を見た。
「え、先輩って誰?」と聞くと「リリーフランキーさん、武蔵美の音楽仲間の先輩」に私とお婆ちゃんは「きゃ〜〜」と同時に叫んで手を差し出した。

今評判のベストセラー本の作者が息子の先輩だなんて吃驚、かねて疑問の「何故リリーって妙な名前なの?」と聞くと、由来は定かでないけど大学でかなり人気なバンドを作っていたそうでその時代からのあだ名とバンド名かららしく当時からリリーさんと呼ばれていたそうだ。

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

清潔な、それでいて実に美しく華やかな装丁の本、まず私が先に読ませていただくことになりました。

そしたら途中でとめることが出来なくなって泣きながら最後まで読みました。果たして息子はこの本を冷静に読めるのだろうか?貸してくれるとき「僕はとってもこんなに書けませんから今からお断りしておきますね」と言うので何の冗談言ってるのか?と思ったけどとんでも無い本になるような生き方どころか・・・。

そんな事より何よりこのオカンのような尊い心がけで子を育てたか?こんな覚悟を持って人を愛したか?問われたら私は意気地なく項垂れるだろう。

自分は何かとてつも無く鈍い生き物オバンとなってしまって、しっかりと両目をあけて物事を見ようとしていなかった事にリリーさんの本は気づかせてくれる、とんでもなく恥ずかしい気持ちと・・・恵まれている所も山ほどあるのに、それを有り難く思う気持ちより不満を探すのに熱心な分厚い猛母に、しっかりとなっている。

リリーさんは年老いたお母さんを苦労して我が身をすり減らして小さくなった消しゴムに例えなさった。母上の死後、日記に挟まれていた「詩」のような言葉のメモに全ての母の気持ちが表れています。ただ愚かな事に思っていてもそれを実践できる賢い母は稀、リリーさんのオカンはその希有な方だったのだろう。
皆さんに多く読んでほしいというリリー・フランキーさんの言葉があります。  


  1. 後日談

    読み終えた息子から
    「絶対に死なないでね・・」と言われた私。そんな無茶な。

    天袋から物を取ろうとしている私の背中を見て息子は「リリーさんのお母さんは痩せて小さく縮んだ!と書いてあったけど君は何か一向に縮まないね、大きくなってるみたいだけど?」
    と声をかけてきた。

    もうそれを言うなって・・・水を飲んでも体脂肪になるらしい私。

    コメント by patra — 2005/12/25 日曜日 @ 3:23:59

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