2012/3/25 日曜日

クリスマスローズ

Filed under: 時代, — patra @ 3:48:05

DSCN4791DSCN4792考えこんでしまった。ふつうであれば,先ず心配等しないのだが、パリに居る息子の胸中を思い辛かった。
好きに生きたらいいと常に思っているが,時代を読めない時に、どうも向こうで家を買う気になっているらしい。
自分のお金で賄える物件が在って、いたく気に入ったようなのである。
「どう思う?」と問われて考えこんでしまったのだ。日本でこの先、家を持つのは絶対に薦めない。パリで生涯、食べて暮らせるのなら好きに自由に生きるがいいが,買うという事に賛成できない。

私を心配する必要は全く無い。上手に公共の仕組みを利用して自立して行けるし,万一の手だてもキチンとしてある。
では何が答えに詰まるのか?
日本人は永久に海外で暮らすにはデリケートな人種である。きっと何時かは日本が恋しくなるだろう。
子供の居ない二人が家は買ったがお金は無くなる・・・そんな選択肢が果たして薦められるか答えに窮したのだ。
不自由な身体で今以上に仕事ができる幸運が続くとは考え難い。子でも居れば話は別だが、遺伝性の筋肉の病気を持つ我々家族は血脈を断つ覚悟が必要なのだ。パリの夫婦も十分に話し合って結婚したはずである。
健康に産まなかったという心の汚点がこんな時、胸に重くのしかかる。

「日当りが良くて段差が無い南向きなんだよ、相当に心動かされたけど不相応なので諦めた・・・」
そのメールが来た日は息子の誕生日なので花、クリスマスローズの大きいのを部屋に生けてもらって居たのだが、息子の心中が痛いほど伝わった。

妻を喜ばせたい!という思いが,人並みの男以上に頭をもたげたのであろう。
だが人並みの男達だって家を持つのは並み大抵ではいかないのだから・・・日本の土を二度と踏まない、骨を埋める、親兄弟を思い出さない・・・そんな覚悟があればの話、買うのは容易くても維持する事は難しいし,売る時にはごっそり税金がかかる。売ったら損だ。「投資になる」とは一概に言えない。

便利で明るい部屋を借りれば良い。昔から持ち家よりも借家住まいのほうが多かった日本。何時の頃より一億総持ち家主義になったのだろう。フランスだって借り家のほうが多いはずだが・・・
家の件はじっくり考えるとして日本に戻らない方が良いとは思っています。福島原発4号機や地震、政治のお粗末等、もう末期的現象じゃないかと危惧しているからだ。彼等にこそ幸運を・・・

でも其れを気の毒で言えない。

すると今朝海外の友人からメール。

今HPを拝見しました。
息子さんの家の件、差し出がましいけれど購入を勧めたいと思います。

私見は:
  もう十年以上(?)パリで仕事をしてきた事実
  これからも続けられる自信と実力が有る 
  経済の低迷期には 家購入は買い手市場
  買えるだけの蓄えがあるか 又はローンを組める(外国人でも出来るはず)
  ローンの利息は税金控除になる
  家を持つことで、ほぼ永住を決意(もう、すでにそのつもり?)
  何よりも、気に入った住処での生活に張りが出る
  日本が恋しかったら、たまに帰国すれが良い(その方が良い所のみ楽しめる)
  パリの水が自分達に合っていると思うなら永住できる
  フランスは日本に好意を持つ国であるし、息子さんご夫婦は友人が多い

以上、プラス面のみ並べてみました。
マイナス点は
  ぱとらさんから遠い事くらいしか思いつきません。

ありがたい意見だった。

息子の身体は何処に居ようが治るわけではないのだし・・・彼に転送しました。


2012/3/24 土曜日

黄昏

Filed under: 日々雑感 — patra @ 18:24:47

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クララの慎み

Filed under: ネコ タグ: — patra @ 1:14:41

DSCN2575DSCN4788昨日はちょいと感動してしまった。
重度の便秘症に悩むクララに看護師さんと協力して薬、浣腸と上手に出来たのは、ケージに入れておいたからですが・・・このケージに入って引っ越ししてきたので自分から側に寄って来ました。
すかさず押し込む。
ところがどうしても大が出ない、液だけが出てしまい、更にお風呂場の少しの隙間から外に走り出てしまった。
看護師さんが追いかけてもベッドの下にもぐってしまう。
もう捕まえられない。そこで紙のオムツを敷いてドアを閉めてしまう。
経験から必ず後で沢山出すからですが,看護師さんと私、がっかりです。マッサージが終って部屋を覗いてもベッドの下でジっとしてます。
「来週こそもっと上手に」と言いながら残念そうに看護師さんは帰っていきました。
丁度お花やさんが来てくれたのでアレンジして頂き、小1時間ほどでお帰りになったので、部屋を汚してないか?恐る恐る開けるとクララが出てきました。
一緒にトイレへ行くと、なんと勢い良くお風呂場に駆け込みます。そして我慢していた大量のウンを出してくれたのです。どこも汚さず、我慢していたのがイジらしかった。
直ぐトイレットペーパーで包んで水洗に流すと、すっきりしたのか洗面所でお水を「え!?」というくらいゴクゴクと飲み、もう嫌がりもせず私に抱かれて窓際のクッションに納まりました。

考えられないお行儀のよさでした。ベッドルームにもスペアのトイレが置いてあるのですが、何か健気さがいじらしく感激してしまった。私に迷惑をかけまいと,2時間以上も堪えて頑張った見事なクララ。ムギュッと抱きしめました。


2012/3/23 金曜日

写真だけの食べ記録

Filed under: 料理 タグ: — patra @ 2:05:02

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DSCN4784DSCN4783DSCN4779DSCN4775DSCN4768DSCN4757DSCN4741DSCN4735食べ記録。(笑)野菜スープからクスクスやカレー,湯豆腐に・・・獅子唐と黒豚。セントルイスの友人から電話があった。アメリカ人の友達が「え〜〜こんなに作るの?」と驚いたそうですが野菜がほとんどですからね・・・しかし、こうして見ると良く作ってます。
だから痩せないのだ、と分っている。言い訳、入院中、体力のある人はやっぱり多少太めだった。
私の場合、外に食べに行けないので作るしかない。昨日の茹でた鶏の残のスープに玉子を落として・・・献立は1週間分一応野菜スープから始まって無駄のないようには考えてあります。

しかし今月はクララの往診代で見事に赤字です。
猫ちゃんの保険もあるそうですが、どうやらクララは老齢なので保険にははいれないらしい。
らしいというのは未だ調べていないからですが・・・やる事が多すぎるのが悩み。


2012/3/19 月曜日

悪い男・・・と高木敏光

Filed under: 友人 — patra @ 18:52:22

DSCN4762読んだのはこの真っ赤な不気味な本です。「クリムゾン・ルーム」普通ならまず隠居が手に取ることもない若者の本でしょう。爆発的ヒットの脱出ゲームと連動した同じ作者が書いた本です。

フィクション、ノンフィクションの境が無い不思議な導入が先ず興味を引く上手な設定で小説としての骨格は、相当にきちんと押さえてあるので、「素人にしては上手過ぎ・・・器用すぎて何か変!と妙な感心の仕方をしたのも、一昨日現れた高木さん本人が著者でしかも実名で彼自身の仕事のバックグランドが舞台なのであるからゾワゾワした奇妙な印象が強烈なのでした。

後で調べたら何と高木さんは小説家志望で早稲田を出たそうです。成る程、基礎が見事に出来ているわけだ。

高木さんの事は殆ど知らないので、家にあった私の秘蔵のウイスキーGlenFiddchの15年物を,自慢げに出したら、それが私の知らないうちに封が開けられ、底に3分の1しかないのを知って、相当に憤慨してらしたのも小説を読んでいて腑に落ちた。

本物の作家と知っていたら招かなかったぞ、迂闊なり。
やたら質問するのでおかしいと思ったが・・鋭い物書きの観察眼に耐えうる体力が最早無い(笑)

ボトルの肩が汚れていたのだ。

私の秘蔵のウイスキ-GlenFiddichのボトルがベタついて汚れていたのだが,私だってこれは赦せない。これは昔の家のバーで私以外の誰かがチビチビと試飲しては丸い箱の蓋を閉め、何事もないようにソっと置いておいたのを知らない私が「自分で開けてね」と封切りだと思って飲んべいの高木さんに出してしまったわけだ。

犯人はあの頃の例の執事に違いない・・・憶測。

ボトルの肩が汚れているような,酒を出す・・・そんなシーンを嫌悪する描写が丹念に綴られ構成されたミステリーを私は「げ」っとか言いながら、でも最後迄よんでしまったのは彼の優れた力量だとおもう。

ただ読み終わって,最後が傑作に成るべきを、微妙なところで、良い人にして投げ出している。あんな終わりは無いだろう・・・
人物描写で一番描けていたのはバクチ好きの解体屋のオヤジと賭博場のヤクザ、ここのチンピラ迄、良く書けていて寂しく笑った。日本には、ここら辺のお手本がウジャウジャと居るのだな・・・

目の前に居た高木さんを思い出し痛々しい感想を抱いたのは事実です。この本を書く事で「K」という高木さんの分身を使って自分自身を殺したかったのだったら、見事にゲームは完結してます。エンディングにもう一ひねりあれば映画になる。韓国のキム.ギドク監督の「悪い男」くらいに仕上げるべきだ。

次回も書くしかないだろう。書きなさい。


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