奇蹟のであい3
可愛いお土産とともに現れたまゆむさんは若く非常に新鮮な印象の細い少女でした。合田佐和子展のお手伝いをしてくださるので打ち合わせにお招きしたのでした。
隠居、ばかの一つ覚えのようにローストビーフと野菜のディナ−でしたが、彼女の持って来て下さった愛情溢れる手作りのお土産に胸が一杯でした。これ、全部彼女が作ったり描いたものです。
信じられないくらい完成度が高かったです。基本のデッサン力がしっかりしているのが何より猫達を生き生きさせていました。
まゆむさんの語るお母さんの思い出話は驚きの連続でした。どこでどのように私に遭遇したのかは、もう亡くなっているので確かめようが無いのですが、和歌山でお母さんの経営していた美容院の名前は「パトラ」だったのだそうです。二人共思わず天を仰ぎました。何かの細い縁の糸が繋がったおもいがしたからです。お母さんは幼い彼女に度々私の話をしたそうです。
こんな偶然から私の懸念していた利発で若く優秀な人材が「アッ」というまに確保できたのです。
翌日,早速、佐和子さんにも報告しました。
皆さんは奇蹟を信じますか?私はなんどもこうした奇蹟で今迄助けられています。
世間的には全く無名の私が唯一まゆむさんのお母さんと接点があったとしたら美容院に置く雑誌「ヘア・モード」に記事を書いていた事、ファッシヨンショーのスタイリングをした時、着替えのお手伝いを美容学校の生徒さんにお願いした事くらいです。どれも30数年も前のことなのです。
でもこうして最も困っている時に天国の糸はまゆみむさんを通じ私に降りてきてくれたわけですが、これは幼くして離別したお母さんがどれだけまゆむさんを案じながら亡くなったか!という事です。
私達二人は見えない糸の暖かさにぼーっとしながらも「美味しいね」と今をしっかりと感じながら味わうのでした。
ありがとう、ありがとう・・・をたくさん感じながら。