芸術家になってたら
火曜日に母が戻ってきた時に、またもう一度絵を描いてみたら?と薦めてみよう。女学生頃の墨絵の風俗画が実にドラマチックな色紙を数枚発見したのだ。細密画を筆でかいている。味のあるタッチだった。
確か十年に1回は薦めた記憶が在る、その度に首を横に振る母だ。クレパスで姉を描いた絵なんかルノワールみたいに柔らかいタッチ・・中々なのにもう描こうとしない母。こんな風にしてしまったのは母の才能に全く気がつかなかった両親や嫁いだ夫、我々娘たちと戦争という時代もあったのだな〜。今青春だったらどんなに才能が開花するか想像してみたら・・・絶句。
不得手な家事を叱られてばかりいた母の生涯が不憫に思えてきた。
家庭人として主婦としては呆れるほど無能な人だったから誰も彼女を理解していなかったことになる。