真夏のカサブランカと水
一昨日も「カサブランカって匂いきついのに、この空間は気になりませんね」と聞かれたのですが・・・
バーは天井だけが高い、といっても外国に比べたら問題外だけれど計ってみたら2800cmだった、多分それで大丈夫なのでしょう。
カサブランカしか飾らないので良く花にまつわる質問が多い。
「いつも花瓶に少ししかお水を入れてないみたいだけど理由があるの?」友人からも聞かれました。
水をなみなみ入れると重くて花瓶を持ち上げられづ、水を取り替えるのに不便だからだが、一番の理由は毎日お水を取り替えてあげたい私は、沢山入れると捨てる時、お水に悪いような申し訳ないような気がするから・・必要最低限の水量を花瓶にいれるのです。もちろん花が倒れないだけの重い花瓶じゃなければだめですが。
水を使えるという事のありがたさは日頃忘れがちだけれど、戦後を生きた私の記憶にシャワーを浴びるだけでも天国の気分になれる。
そんな昨日、大昔の友人から、昭和40年代にして女手でマンションを購入し、仲間を羨ましがらせたキャリアウーマンだった彼女の部屋の、お風呂がついに壊れてしまったらしい手紙がきた。
ガス会社の規定からは最早外された部品、全部ユニットバスに取り替えて湯沸かし機をテラスに設置する大騒動が勃発、マンションの7階の床板までも剥がす工事で、しかもこの暑いのに8月まで待たされるのよ!!・・・と苦情が書いてあって仰け反った。
早速電話を入れる。
「お風呂をどうぞ」と私。すると「学生の頃も、確かパトラのこうがい町の伯母さんの家でお風呂を借りたことがあったわね、今も〜思い出していた所・・」と電話の声が懐かしげに笑った。
今の家が普請中の半年間、私は18才大学生で、海に借りた家や友達の下宿や先輩の所へ泊まり歩いては、家の出来るのを待っていたのだが、意気地がなくて銭湯にだけは経験が無くどうしても行けなかった。無理に友達も引っ張って親戚の伯母の所へ貰い湯をしたのだろう。
「ありがとう、でも銀座のコンパル湯が2時から開くので仕事には触りないから助かっているのよ」とアッサリ答える彼女の真っ白い髪に似合わない生命力の根源のタフさに舌を巻いた。
コンパル湯は銀座で働く夜のお兄さんお姐さんが利用する老舗銭湯でつとに有名だが今だ健在なのか。人生は不思議だ。家庭を持つ事の無かった優等生が今や銀座で家庭料理とお酒の店を切り盛りしているのだから
風呂が無い・・・だけで卒倒しちゃうような軟弱な私は、だからせいぜいお水さんを大事に扱い排水溝をピカピカに洗い、夕べもカサブランカのお水を「少なめですが・・・」独り言と共に取り替え、手入れと掃除の連続だったけれど堅牢で長持ちしてくれる持ち家の息災を祈ってポンポンと柏手をうちました。