えっチャンの注意力
現役時代,一番若かったアシスタントのえっチャンは浮ついた所の一つも無い今も現役スタイリストです。
つかず離れずの友情が続いています。
ここへ引っ越す前後、骨折や日頃の人嫌いがこうじ、業者以外手伝う人も居ない私へ率先し電話をくれて、まる2日通って整理整頓してくれた恩人です。
去年もバルティユス展も付き合ってもらい楽しかった。
今回もシモンドール展に画廊で待ち合わせしました。検索で場所を見たえっちゃんは心配して「大丈夫かな?段差」と報告までしてくれたので、私はスロープの事をお話しました。
当日、介護タクシーのお兄さんがテキパキと入り口や縁石にスロープをかけるのを見て「うあ、これなら何処へでも行けますね、ぱとらさん」と安心したように笑ってくれました。
作品を見てから、マッサージの看護師さんが待っているのでほぼ1時間で画廊と皆さんにお別れし、帰りはえっチャンも一緒に車に乗って戻りました。
恵比寿から池之端までは優に1時間はかかりましたので、行きも大分シモンさん,皆さんをお待たせしちゃった。
マンションの入り口で看護師さんが待っていてくれました。
鍵を開けるにも人手が要る私です。
介護タクシ−に清算し,私がマッサージを受けている間、えっちゃんは管理事務所から届いた避難通路の地図など詳しく読んでくれて
「これじゃ説明不足ね」と申します。
どうりで私が読んでも分らなかった訳だ。ただ防火ウオールが各階に在るのが分った。
「どれどれ、避難通路の外のバルコニ−見て来るね」とドアから外へ・・・・
戻って来て「かなり広いスペースが有った、20人くらい大丈夫かな」
私は驚いてしまった、今迄5年間,誰もヘルパーさんも避難通路から避難バルコニーを確認してくれた人は居ない、さすがえっちゃんだ。
看護師さんがお帰りになった後、ふたりで楽しく今日の事など話しながら夕食をしていると
えっちゃんが言葉を続けた。
「今日の運転手さん,丁寧で人当たりも優しいし運転も乱暴じゃないけど一つだけ・・・」と間を置いてから「癖なのかどうなのか、彼は黄色信号も直進するのよ、あれは危ない。一度など赤になっても無理に右折したので、数えていたら10回も黄色信号で突っ切った。介護タクシーは責任があるのであれは注意しないと」
後部座席の私からは、また運転しない私には分らない指摘だった。
昔からいつもおっとりとでも確実に大事な要点を指摘してくれるえっチャンに驚きと感謝で一杯になった。頼もしい・・・「もう一度乗ってみないと、偶然か癖かは分らないけれどね」とも付け加える慎重さだった。
1週間経って昨日やって来たケアマネジャーさんの紹介の介護タクシーだったので、その話をすると、あっさり「じゃ止めましょう」「いちださんの前に使っていた介護タクシーにしましょう」と言われた。
下見までしてくれた良い人の良い部分を大事に育てる意味でのえっチャンの感想なのに・・・何だかな〜
注意する、とは決して全人格の否定ではないのです。
人を成長させるための苦言、必ず後から生きてきます。受け入れる柔軟さが一番だいじなんです。