合田佐和子さんのリパッティが来る。
合田佐和子さんに「欲しい」と口を滑らせたら・・・みうらじろうギャラリーの耳に入り絵がやってきた。
佐和子さんの提示した値段はとても買える値段じゃなかったので「無理、無理」とお断りしたのだが、「見ていただくだけでも」とギャラリーの三浦さんが持ってきてくださった。
じっとこちらを見つめる瞳の何と魅力的な事か、急逝したピアニスト「ディヌ・リパッティ」70年後半か80年代初期の西村画廊での佐和子さんの傑作だ。
見てしまえば欲しく成る、第一、窓ばかりで壁のない我が家、飾るところが無いのが大問題・・・
息子の部屋に此処、あそこと絵を持って頂き、大汗をかきながら他の絵を外し置いてくださる。
しかし、どうもしっくり来ないので「やっぱり我が家には無理だとおもう」と言いながらキリストを外し玄関の正面に置いてみる。
「ここが最高です」と三浦さん。
が、やっぱり違う。
初めに「ここはどう?」と私が指差した場所に置いてみたら、あらら不思議、ピッタリと収まった。
空気穴は塞がってしまうけどまったく違和感なし。
収まってくれれば佐和子さんが喜ぶ・・・70年代80年代の佐和子さんが好きで手放さなかったリパッティの瞳が今度は私をジっと見つめることとなった。
大きな絵や写真の額を外したりかけたりしてくださった三浦さんとは3年前、合田さんの個展で小さな喧嘩をした仲なのだが、今回お会いしてメールのやり取りでは伺えない誠実さが伝わりました。
お世辞も何も言えない方に、大胆にも値切ってしまった。
お互い合田佐和子さんを応援する熱心なファンなのだが如何せん私は貧乏すぎる。
初めての佐和子さんの個展を見てから50年過ぎてやっと2点が縁があってやってきました。
しかし収まってくれて良かった。私には大きな買い物だったが、これで佐和子さんがまた絵筆を握ってくれる気になってくれれば・・・
すっかり貧乏に成ってしまった私の目にリパッティが微笑んでくれます。何よりです。