2010/8/14 土曜日

ホウレン草の悲劇

Filed under: 料理,日々雑感 — patra @ 4:39:06

CIMG7808CIMG7806CIMG7809CIMG7807IMG_0979ま、何と言うか大変な二日を徹夜で過ごしたおかげで落ち着きました。
全ての元凶はホウレン草にありました。
ほぼ毎日で食べているホウレン草、ヘルパーさんが、拾って洗いラップして仕舞っておいてくれたのを成敗してやりましたぜ。

何の事?とお思いでしょうが11日の水曜日、食欲の落ちてきた老母にお粥さんに刻んでいれて上げましょう!とホウレン草を茹でていたのです。
この日はお隣の母より一つ年上のおばーさんが亡くなられた知らせがあったのでお香典を届けました。母の事を良く訊いてくれる道路を何時も掃いていたおばさんです。ここ2年程、母と前後するように入院なさってました。ショックです。
そんな事も頭の隅にありながら台所へ、其の時一瞬何とも言えない躊躇が脳裏をかすめました。
茹でるのがためらわれる感じ・・・・
けれどお粥さんに細かく混ぜて卵で食べれば・・・そして茹で上がり鍋の柄を持ってシンクにお湯を捨てようと正に其の瞬間に母の電話が鳴りました。
料理中は危険なので電話に出ない私ですから、私の電話機は鳴りません。母の方なので一瞬、お隣が報告とお礼の電話かな?と思った瞬間手が滑りシンクじゃなく鍋が落ちました!
どこへ?もちろん私の膝へ!!
絶叫するほど熱かった。ホウレン草はペチャっとスカートに張り付いたのをたたき落とし・・3回、ソプラノで絶叫しつつお風呂場へ車椅子を漕いで直行です。
風呂椅子にブレーキが掛っています。その堅いブレーキを外し兎に角車椅子毎身を入れてシャワーをザンザンかけましたとも。火傷は初めに熱の浸透を深くさせないために冷やす事が一番大事なことを良く識ってましたから・・・メチャクチャ痛かったのが水をかけたら気持ちがいい。痛みが薄れるのでザンザンかけてからヘルパーさんの事務所へ電話しました。鍵を開けてもらわないと台所の入り口には鍋とホウレン草と巻き散らかったお湯でドアが届かないからです。
すると何時も優しいヘルパーさん、私の要請に「鍵あけるだけでいいですか?」と妙に冷たい声。そう時間外ですからね。でも鍵開けて頂かないと私のケアマネジャーや看護師さんが部屋にはいれません。兎に角、そこは母の看護士さんも抱えているところなのでお願いしたのですが、諦めて電話を切り私のケアマネさんと看護師さんに連絡をとりました。此の時間10分のロス・・・痛いなんてもんじゃないが保冷剤と氷を買ってきて!とお願いしながら冷蔵庫に突進、あるだけの保冷剤で患部を冷やす・・・『なんという事でしょう。』と思いながら。

10分ほどで鍵を開けに件のヘルパーさんが経営者でもあり看護師さんでもある上司を連れてきてくださる。おぉ助かる。冷蔵庫の氷を洗面器に入れてタオルを浸し冷やす作戦をしてくださったが氷が足らない。
5分も経たないうちに私担当の看護師さん到着、早速主治医と電話連絡をしてくれています。お盆休暇で遠方なのです。タオルで冷やす方法では埒が開かないと思った私はジプロックを出して頂きそこに氷と水を入れ患部に載せる作戦を提案し、更にバケツに脚を入れたいと話していると2階の母の外階段に男の声・・・
「誰か来てるの?」と訊いても子持ちのヘルパーさんは時間外が困るわけで返事もしない。困った、悪いと思う私だが緊急なので勘弁ね、と心で詫びる。救急で病院へ行く時間より兎に角冷やしたいので前のJ病院の売店でオンザロック氷を大量に買っていただきました。

ケアマネジャーさんが大きい保冷剤パッド4個とコップに入った氷を持参し息切らして飛び込んできます。ヘルパー経営者とケアマネさんは組織も違うのでバトンタッチ。一先ず保冷剤を冷凍庫に入れ「痛みを取るステロイド系を塗る」という提案を断固断る。皮膚の柔い私はステロイドは禁句です。
24時間徹底的に冷やし熱が深部に進まないようにしてからゲンタシンか、あるいはアズノール。皮膚は破れていないのでラップしきのフィルムで覆うという方法を取りたいと言うと電話で医師の確認を取ってくれました。
我ながら驚くべき冷静さで早朝に来て頂く段取りを付け、追加の氷も買って頂き、一先ず看護士さんと元婦長さんのケアマネさんお二人には帰っていただいたのが8時過ぎでした。

早朝に珍しくツィッターなんかしたのも眠気冷ましです。
もの凄い勢いで氷が解けて水だけになる氷の袋・・・アっと言う間に6袋無く成るのは夜中12時過ぎ・・・水の袋や保冷剤は満タンのせいでちっとも冷えません。
仕方がないので冷凍食品、ローストビーフ用の肉の塊、海鮮丼用チルドの袋、冷凍コーンの袋まで載せた脚・・・
何だか美味しそうな風景です。一人で笑っちゃう夜中。
そうそう、ニュースでフィンランドのサウナの熱傷事故ニュースにも呆れました。100度を越えたサウナ,人間は何て愚かなんでしょう。茹で鶏じゃあるまいに。

それと熱いお湯の掛った瞬間の悲鳴、我ながら見事なソプラノでしたよ。
金切り声とも言うけど、きっとビルに囲まれてなければ近隣に響くでしょう(笑)歯医者さんに貰った痛み止めロキソニンを飲まずに在ったのでそれを飲み部屋を見回すと混乱の極み。びしょ濡れのワンピースドレスを取り替えお皿を洗い、机を整理などしながら気を紛らわせる事ができたのも痛み止めが効いたお陰です。保冷剤を巻いたままウロウロ。顔にはパックという姿。転んでもただ起きませんのよ、私。
早朝7時すぎに看護師さん。
薬や氷に私の朝食,出来立てサンドイッチやスープ缶など母と私に持ってきてくれる。
氷が何より嬉しい。
家にあったアズノールをガーゼに塗り包帯で保護してから氷袋毎冷やす。

台所や部屋を見回しながら看護師さんが
「え!!、着替えてる。いちださん,部屋も台所も片ずけたのですか?」と目を丸くされました。
だって気が紛れるから「私ってタフよ」に大笑い。次がある看護師さんと交代でケアマネさんがなんと同じパン屋さんの美味しいサンドイッチ・・・泣けました。本来そこまでしないのが制度ですが私の様に家族が居ないものに取ってはこんな心使いが何より癒されます。決して甘えはしないけど心に利くお薬です。

徹夜だったのでヘルパーさんの来る3時まで脚に保冷剤パッドを載せて頂き仮眠。鍵を預かっていただく。
夜の8時、再び看護師さんが来てくださる。大きいアズノール軟膏の缶とともにもう全く痛く無い。ガーゼに薬を拡げるのも私の方が慣れているので今後はもう大丈夫、このまま水泡になったところが吸収されるまで気長に待ちましょう。
48時間が勝負だったけど概ね成功でしょうか。お医者様の指示でゲンタシンとアズノール軟膏が沢山薬局から届きました。
お粥を煮ておいてあげたのに食べず、私への差し入れのスープを冷たいママ飲んだ母が初めて吐く。母は火傷を知らないのかと思ったら
「知ってるわよ、ヘルパーさんに聴いたから、先生が火傷では死なないって言ってたわよ!」に看護師さんと私、絶句する。
あの時、2階で声がしてたのは往診だったのか?金曜のはずが私に言わないまま水曜に変更、2階へ来てた彼等だ。しかもヘルパーさんんと同じ組織の訪問看護師が母の担当だ。次がありますからと覗きもしないで帰ったそうです。それが訪問医療の現実です。私の担当ではないから診る義務は無い救急車を呼べ!が彼等の考え。いくら一つ屋根の下だろうがです。胆に命じよう。

ヘルパーさんがケアマネさんに翌日、言った言葉も胸が痛い。
「何でケアマネが鍵や緊急連絡番号をイチダさんに渡さないのですか?鍵を開けに一々我々が呼ばれなければならないのですか?」だったそうです。怠慢だと叱られたそうです。
今まで必要が無かった事でしたがスペアキーを作り渡しました。今回の事で2つの会社、母用と私用で担当者会議のコミニュケーション不具合が露出したのが分って良かったことでした。
私にとっては良い人達でも知らない間にヘルパーさんの負担になっていたとはケアマネさんも私も驚きでしたから・・・それは話せば分る誤解で,決して丸投げでは無い努力を私が知っています。我々親子には大事な大事な区役所からの紹介のケアマネジャーさんなのです。仲良くやっていただきたいので全てを私経由にして双方の理解を求めたい。

しかし実に怪我の多い我が人生だけど、痛みであっても乗り越えられる。めげない自分になる試練なのかな、と考える。その内に木鶏のように何事にも動じない魂になれるのならそれも良いや。

母を看取るには覚悟の覚悟が必要なわけだ、どんな試練でも受けてみよう。が、私が先きにいってしまうようではいけません。
真っ赤だった手は見事に元どうり。氷作戦大成功。感染もまず無いだろう。


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