南ポルトガルの笑う犬
40年の空白を埋めるのは一冊の本で充分でした。昔の友人の著書を早速取り寄せ、午後から一気に読みました。今までネットフレンドの本を何冊か応援のために読みましたが、贔屓だけでなく実に面白かった。夫の赴任先、南ポルトガルのアルガルヴェ地方の港町に住みついた彼女は,「若い頃憧れたパリやローマと全く違う世界にがっかりし怒りもし悲しんだが、ここで幸せにならなければならない、と決心し、どんな小さい幸せも見逃すまいと目を凝らしていきて来たような気がする」と書いている。友達をみつけるため町をさまよい歩く路傍の主婦は.沢山の犬と顔見知りになり、< どもども奥さんと声をかけられることが・・・そんなときの彼らの顔は必ず,笑い顔なのである。>と
表題の由来が明かされる。「そしていま,町の犬で私を知らないものはない」
滞在14年にして、いまは沢山の外国人から遂には排他的なポルトガル人の友達まで多くの友情に支えられ日本人として胸を張って暮らす姿は感動です・・・。胸が詰まるような大人の女の友情の示し方、様々な国の男と女達のエピソードどれもが輝く陽の光のように詰め込まれている,素敵なエッセイです。
惜しむらくは本の表紙があまりにも地味・・・これは店頭ではほとんど目立たないだろう。手に取って2、3行読んで頂けば引き込まれること請け合いだけど。ぜひ手に取って読んで欲しい。中の写真はブログの方が楽しいけれどエッセイには久々に大人の女の愛や孤独が、ユーモアとともにどの章からもこぼれ落ちてきます。4切れの蒲鉾事件など同じ思いを経験してるので膝を叩いて共感したのでした。ぜひ買ってください。「南ポルトガルの笑う犬―アルファローバの木の下で
」宣伝ですが.裏切りません。女性にプレゼントしたら喜ばれますよ。