2008/7/22 火曜日

退院一年目に思う

Filed under: 家族,日々雑感,骨折日記 — patra @ 3:15:56

去年の今日、私は介護タクシーを予約し、文字どうり一人で病院を退院してきました。前日に姉が自分の小さいミニクーパーに乗るだけの荷物、といっても二つくらいを持ち帰ってくれました。その他の荷物は病院内の郵便局からゆうパックで2回にわけて6個の袋詰めを自分で自宅にだしました。これはテストでもありました。たった一人で入院したらどれほど困る事があるか?を知りたかったのですが、ほとんど何も困らなかったのは発見でした。困ったのはむしろ自宅に帰ってドアを開けて介護タクシーのオジさんに押して頂き、車椅子から中を見た瞬間、久しくみなかった母がもの凄く想像以上に老けていたこと。家の中が半年でメチャクチャに汚れていた事、「歩けないなら退院してこないでよ!!」と心配するあまり叫ばれた時でした。母も相当に自分の体調を我慢していたのでしょう。開口一番がおかえりなさい、でもお疲れさまでもありませんでしたから、実にヤレヤレでした。

やっと上がりがまちに立ってピックアップ歩行器につかまり自分の椅子に座った瞬間から・・・手は無意識にその辺のゴチャゴチャした書類の束を片付け始めていましたもの。悲しかったのは2月に倒れた当時のままの冬のカーテン、冬のテーブルクロスが,埃っぽいまま暑苦しく垂れ下がり、「あんな部屋でどうやって市田さん、これから暮らすのかしら・・」病院でお会いし、その後御世話になるケアマネジャーさんの声が脳裏に浮かびました。病院から電動トイレの工事の手配のため下見に行って頂いた時の言葉でした。あぁ、これでは心配されるのも無理からぬ話だな・・・。姉が昨日,病院の帰りにでも寄って奇麗好きの私のためにお掃除でもしてくれている、と期待した私は甘かった。埃だらけ荷物だらけのテーブルにお花だけが可愛く咲いていたのはパリに居る息子たちからの退院祝い。

なにもかもバランスを崩してしまった秩序の欠落してしまった部屋は埃にまみれて、ヘルパーさんの手が届いていない結果を如実に物語っています。言われない事はしない・・・主義の彼女達を90の母には指導できないからです。猫はまとわりつくし、第一もの凄く猫のおしっこの匂いが立ち籠めていました。

姉がお昼ご飯を買ってきてくれて初めて彼女も大腸癌に冒されていると聞き,”掃除どころじゃないわよ、命がかかってるのよ!”と言われて絶句。今まで、時々でしたが無理して病院に来てくれていた!と知りました。テーブルの位置だけ直してもらって兎に角 無理しないように早めに引き取ってもらう。車で世田谷まで帰るには渋滞になってしまう時間帯を避けねばなりません。

それからの1年、くる日もくる日も整理、整頓、家の修理はブログに綴ったとうりです。相当に奇麗好き、と自分を自負していましたが木戸の納屋といい父の部屋,母の部屋は人様にお見せ出来ませんでした。私の意志が働かない部分は荒れ果てていました。人生は何時、何が起きるか解りません、がもうソロソロ死を見つめて生きてゆく覚悟が必要なのでしょう。心置き無く老後を迎えるには、我が母の無手勝流では最早到底,済まされない時代です。そう心がけ準備していた諸々を一気にこの骨折入院のお陰でクリアーできた最近です。特養しか入れないのに特養嫌う母、ならば家で看取るしかありません。その為には私こそが気持ち良く暮らす必要があるのです。

あともう一息の所でガス欠気味の私ですが最晩年準備は整いつつあります。ちょっと一休みして、筋肉の運動に取りかかり更なる明日へ向かいたいものです。

「お母さんの面倒なんか、君の身体では危険すぎるよ」と部長先生に言われましたが、運命があるとしたら、それを克服するのが私の生きる道・・・何とか平常心で日常をこなす事が出来ています。母のケアマネジャーさんが替わったお陰で全てが気持ち良くスムーズに動き始めたことを感謝しながら,熱心な人々に出会えて頼もしく有り難かった1年でした。


  1. 自分でも体がご不自由なのに、お母様のお世話や家事仕事、他にも色々な用事を人並み以上にてきぱきとこなされているpatraさんのご苦労は想像を絶するかと思われるので、どのようなお言葉をおかけしていいのか適切な言葉が見つかりませんが、全てのことに手抜きしないで、自分のライフスタイルを堅実に保持し、前向きにがんばっているpatraさんの姿を見ていると、いつも背筋がぴんと伸び姿勢を正せます。
    生きていると、途方にくれ今後どうなっていくやらと不安に陥ることも誰しもあるでしょうが、patraさんの言葉を読んでいて、あきらめず努力を怠らなければ、一年後には多くのことはあるべき様におさめることができるんだなぁって、大きな勇気がもらえました。ありがとうございます。

    コメント by Michiyo — 2008/7/22 火曜日 @ 16:59:23

  2. Michiyoさん
    そうなんですね,諦めないで一つづつ片付けるしかないのです。
    私の中の甘ったれな部分、あらかたクリアーできました。

    やれる事は、すぐやる。で日々頑張っていますが人間には許容量が
    決まっているらしく一つやると何か疎かに(笑)・・・時間だけは一杯有るので
    気長にいきます。
    母曰く
    「あんたの面倒見てるなんて面倒のうちに入らないわよ。面倒みるって
    何から何まで何も出来ない人を、それこそご飯から食べさせて見るんだもん,私なんか達者なほう。
    今度ショートステイしてみて良く解ったもの、私が一番げんきだった。」
    だそうで、まったくその通りです。畏れ入っちゃう。
    自然にまかせて成るように成る!と自分に言いきかせております。

    コメント by patra — 2008/7/22 火曜日 @ 22:27:29

RSS feed for comments on this post. TrackBack URL

© 1999 - 2024 Patra Ichida, All Rights Reserved.