不毛の連鎖
残念に思うことは母の体力が極端に落ちていることを留守の間、面倒を見て下さる筈の母担当のケアマネジャーさんが見落としていたことだ。
なにしろ齢90の老人、ヘルパーさんや訪問看護師さんが来て見てくださっても細かい所まではチェックできないはずだから疲れが溜っているだろうと心配し、 ショートステイへ行かせ暫く休養させましょう!そう思って病院から予約するように電話を入れておいたのですが豈図らんや、母担当のケアマネジャーさんは 「娘さんが退院してきてからの事ですよ!!」の一点張りではね除け、終に8月は満員御礼となり予約が取れなかった。
9月さえ18日にやっとキャンセルが出たので何日かお願いすることができたのだ・・・母の夏の楽しみはこうして消え去った。
予約しておきなさい?と病院から電話したのは6月の初めである。私が戻るのは7月の中旬ともハッキリ伝えてあったのに、<日にちが解らないと予約できない>等と杓子定規で老人に対して全く思い遣りがなかったと聞く。
足が痛いから早く行きたい!と電話口で訴える母に「ハァ〜、痛いんですか〜?・・・」と他人事のように答えたそうだ。担当する人によってきめ細かさ の対応が甚だしく違うのにはがっかりした。半年もお留守番したせいで楽しみだったショートステイを長く諦めていた母が気の毒だった。
諸事情を考えても暑い夏は老人の体力を奪うのだ。ほんのちょっとの想像力と優しさがあれば5ヶ月を立派に留守番の任務を果たした老人をショートステイで休ませてあげようと考えるのは普通の事だろう。
しばらくは動きも鈍いやっとこさの娘を、見ているだけで何も出来ない老母の辛そうなこと・・・施設の利用とはこんな時にこそ役に立つ筈なのに何ごとも手早く用意周到を得意とする私だったが、他人が絡むと一向に捗らず歯ぎしりするばかりです。
捗らないと言えば今回の骨折で私の左右の足が若干長さが違ってしまったため、踵のヒールで調節する装具靴が必要になったが、何と2ヶ月半かかっても 不出来で足に馴染まず、何度も仮合わせしても巧く行かない。とうとう靴なしで退院する羽目になってしまったのです。靴の高さを両足とも正確に合わせないと 骨盤が安定せづ絶対に手放しでは立てないのです。
手放しで立っていられなければ歩くことは無理です。
こんな単純な論理が病院に入ってる装具靴屋さんには最後まで飲み込めなかったのか、やり直すたびにドンドン悪い状態の靴になるのには本当に神経を 疑った。その無能な業者任せにしチェックもせずに放置した病院側、退院が迫っても5度に渡る仮合わせは無斬なままに終わり、結局私は歩行訓練を完全に出来 ないまま古靴を自力で直し退院せざるをえなかったのだ。よもや3月から繰返し打ち合わせし図面を渡し頼んでいる靴が間に合わずじまいとは想像さえ出来な かった。
誰も悪気が無いだけに始末が悪い。そもそもの発端は私を立ち上がらせて足の型を取る日、呉々も宜しく頼みますね、と伝えておいた当番の看護師が約束の時間に来なかったこともある。
まだ自力で立てなかった私はズボンのベルトを引っ張っていただくように昼から頼んであったのだ。念のために7時ですから!、と靴屋の来る時間も伝えて置いたのにしっかりと忘れられたのである。仕方が無いので座ったまま型を採るはめに・・・。
靴屋の技術が低レベル過ぎることも問題が大きかった。重くて無骨なとても履けないシロモノ。
悪意もないのだと思う、彼等の積み重ねる不注意は彼等には何の意味も持たない些細な事なのだろう。でも誠実という事に鈍感になったまま生きると物事はドンドンと不毛へ向かってしまうことに気づくべきだ。
足裏の1ミリの誤差でも感じ取ってしまう障害ゆえに敏感な私は終にそのずぼらな靴屋と不注意の連鎖だらけの病院体勢を見限って退院してしまったのだが、人 が拘わることに不誠実が忍び込む事で浪費される時間は、取りかえしが付かないくらいおそろしいことだと気づく人はほとんどいない。
今までは、読んでばかりで、はじめてコメントさせていただきます。
色々と、大変でしたね。
以前、テレビで、足の不自由な人のために靴を作りづけている方のことを観たことがあります。
長らく歩くことの出来なかった少年が、自力で歩けるまでになる姿が感動的でした。
あくまでも、テレビで見た限りでの印象かも知れませんが、脚の不自由な人に歩いてほしいという、情熱が感じられるお人柄でした。
探してみたら、HPがありました。
「神戸市靴の中井」 http://www.kutunonakai.com/
ご参考まで。
コメント by 酔仙亭 — 2007/8/2 木曜日 @ 11:03:37
酸仙亭さま
はじめて下さったコメント、ありがたく読ませて頂きました♪
中井靴店は神戸なんですね、今の私には遠いのが残念です。私は元々尖足なので普段からヒールの高い靴を履いていたんですが、その事が危険と思われてしまうらしく安定重視するとスキー靴に高いフナ底をつけたようになってしまい、ゴロンとした醜い靴になってしまうのです。
でも何より土踏まずが安定し左右の高さが安定した、アンクルブーツ、絶対に作ってみたいのですが・・・コルク張り合わせのヒールで柔らかいカンガルーかなんかの皮で!!
情報を寄せてくださって嬉しかったです。私も色々と研究してみます。
コメント by patra — 2007/8/2 木曜日 @ 16:36:12
ブログを読ませていただいていると、東京にお住まいなのですよね?
であれば、ちょっと難しいかも知れません。
テレビで見た限りですが、非常にパッションのある、そして、本当にその人のためになる靴を作る方と、お見受けしました。
御相談だけでもなさってみては如何でしょうか?
余計なお節介、ご寛恕下さいまし。
コメント by 酔仙亭(すいせんてい) — 2007/8/2 木曜日 @ 18:44:08
酔仙亭さま♪
再度のご親切なコメントありがとうございます。
昨日は工事の人達が入っていて時間ガ無くお返事が遅れて失礼いたしました。
東京は本郷に住まいしております。
手こずった靴やさんも本郷なんです、噂では業界一だそうで・・・・
サイトを拝見しても吉田さんの情熱がつたわりますね、近いところでしたらぜひお願いしたいところですが私の望む形はお造りになっていないようです。
多分、私の注文が「美意識」までも要求しているので難しかったのでしょうが、障害の靴があきらかに障害用と解るのには納得できないのです。
男女の区別も解らないのも困るんですが良い技術者をご存知かもしれませんね。
ご心配くださってありがたいと思っています。
型を取るだけで仮り合わせをしない、とあったのでそれもしんぱいなんです。
コメント by patra — 2007/8/3 金曜日 @ 13:22:25
おかえりなさい。
きっと再会できると 信じてお待ちしておりました。時々覗いては これは・・・と想いながら。再会できたことが嬉しくっていますが記事一つ一つ拝見してことの重大さに驚いています。このお留守の長さに さぞお辛い事でしたでしょうと想います。patra さまで あったからこそ乗り越えられたことごとがおありとblogの再開に頭が下がります。
母の時もそうですが なかなか こちらや母や 人としての尊厳の意を汲んで取り組んでくださる プロフェッショナルに出会う事は 難しいと実感した日々でした。その中で patra さまが出会った人々や ご近所のご縁 ケアマネジャーさんに感謝の日々をお過ごしのご様子にほっと一息つく想いです。
母上さま お留守の間 よく頑張られましたね!尊敬申し上げます。
お身体 ご自愛なさってくださいませ。
これからも patra さまの素敵な風を お届け続けくださいますように・・・。
コメント by 野の花 — 2007/8/4 土曜日 @ 12:29:07
野の花さま
おひさしぶりです。やさしいコメントありがとうございます。
一番頑張ったのは一人で留守番を護ってくれた老母です、確かに。はじめはこの事でショックを受けて痴呆にでもなったら!と大層心配しましたが何時電話しても元気な声でホっとしたものです。
現実は玄関にゴキ男の屍骸が2匹も出迎えるしクモの巣だらけだし・・で「ありがとう」と言うつもりの再会が「きたな〜〜〜い」と叫んでしまう親不幸娘でした、反省。
良く聞いてみると朝から時代劇チャンネルにコンビに弁当で好きなものばかり、小言も言われないので非常に極楽だったそうですよ(笑)。
入院中、同室の御婦人方、まだ70代の方々が口を揃え「お母様は立派です、とても真似できません」と仰って下さった事を伝えたので張り切っていたようです。
今は、留守中、出来なかったお昼寝をしています。
コメント by patra — 2007/8/4 土曜日 @ 15:12:23