2006/8/20 日曜日

Elephant

Filed under: 感想,時代 — patra @ 5:00:29

哲学書を読むのは大好きなのにいわゆる小説を読むのが苦手な私はいい大人の癖に字を未だによく間違えるので困るのだが・・本を読むより映画が好き。といっても最近は2年遅れをTVで見るに止まるが・・
夕べはElephant
Elephantをやっと見る。わざわざ映画館へ足を運ぶ映画ではないけど、やっぱり見るべき映画だった。ガス・ヴァン・サント監督が2003年にカンヌ映画祭でパルムドールと監督賞に輝いた作品。

この監督の「マイ・プライヴェート・アイダホ」が大好きなので期待しつつ見ました。実際にあった高校での銃乱射事件を題材に流れる時間の交差する空気感を巧みにつかった、ほとんど演出の見えない少年少女の醸し出す臨場感がみごとでした。学生たちの即興の台詞も効果的で実写記録をみているような錯覚に堕ちるため、ちょっと根気も要りますね。
見終わってすごく切なかったのは・・・何故?がやっぱり強く残るからだ。結論が全く無い。

最後まで見ても良く解らない題、エレファントの意味が重要らしい。仏教の聖典に出て来る盲目の人々が手で象を触ってもその部分、耳や脚、尻尾、牙を理解しても全体像を掴むことが困難なように・・・問題を把握しにくい・・決して答えが出るものじゃないがその原因と結果を明らかにしたいという希望的意味からつけたらしい・・。本能的というか直感的に少年を理解するようにみえるガス・ヴァン・サント監督らしい見事なまでに少年側からの視点の作品です。16ミリかな?

遥か昔、まだ今より単純だった時代に子育てが終わってしまってよかった!とつくづく思うけど、感じた事は家庭の食卓がぞんざいになる分だけ、子供と親の距離が大きく離れてしまうのじゃないだろうか?
この映画にもそんな投げやりな食卓が出てきます。食わせるだけのホットケーキじゃ駄目ですよ、おかあさん。


  1. この映画、観たかったんだけどまだ観てないや。かれこれ半年くらい映画観てないかも・・・
    この監督作風が面白いよね。
    ニコール・キッドマンの誘う女もしょうもない話なんだけど演出が面白かった。

    コメント by kyo — 2006/8/20 日曜日 @ 6:06:32

  2. そうそうあの「誘う女」見せちゃうのよね、巧いと思う。

    この全く演出していないように見せて隅々まで(ロケ場所、映像に関しても)人物の表情、人相に至るまで注意深さ・・・間の計りかた、無作為の作意!ただ者じゃありませぬ。

    君ら元若者はぜひ見るべきかも。

    コメント by patra — 2006/8/20 日曜日 @ 6:19:07

RSS feed for comments on this post.

© 1999 - 2024 Patra Ichida, All Rights Reserved.