猫撫で声のわけ・・・
「明日着て行く物は分かってるの?」と母に確認すると、こないだこれなら良いと選んだ黒いビーズの襟のついたカットソ−のブラウスと対の黒いカーディガンを着ると言うので安心して「ズボンも黒よ」と声かけると元気良くOK!と返事がかえってきました。
出がけの母に会わずに2階で仕事をしていた日でした。
ところが午後に病院と美容院から戻った母の姿に仰天!!ワイン色タイシルクのオーバーブラウス(ややドレッシー柄有り)に完全にスポーティーな縞柄の綿カーディガン、ネズミ色の婆さんズボン、つまり滅茶苦茶なのだ。
材質も色も何もかも・・・どうしたらこうなるの?という組み合わせだった。
前に美容院へ行った時も気絶寸前の組み合わせだったので心配で問いただしたのに・・・急に黒のカーディガンの裾が短かめで大きいお尻が目立つ!と私に言われた事を思い出し着るのを止めたのだと言うではありませんか。
だから目立たないようにズボンも黒ね!と伝えておいたのに、全然聞いてなかったようなお顔をしますので老人は、目がはなせません。
加えてちょっとでも叱ろうものなら、すぐ脹れてご飯を食べないとストにでます。これはやっぱり老人病の初期なんでしょうか?
理解してもしなくとも再び洋服の講議・・・絹には絹かウールのモノを合わせる事。
色は2色以内。セットのモノはバラバラに着ない。襟無しの時は必ずスカーフかネックレスをする・・・等を着物に例を取り、伝える。着物素材と帯び、季節感は大事など。
フンフンと聞いていた母、一言
「スタイリストって気の毒ねぇ、人の変な格好が分かっちゃうんでしょ...私全然平気っ」と憎まれ口。
違うってば、老いゆく母さんの妙な恰好を見るのが哀しいだけですって!!。
絶対に簡単で間違えようの無い洋服ダンスにしておかなければ、と玄関横の狭い戸棚、本来は季節のコート用を整理し母に明け渡したのにもかかわらず探し出すという行為すら面倒で出来なくなっているようです。
冷蔵庫からお惣菜を取り出すのも苦手になっているようで、ヒタヒタと侵食してくるような老いの兆し、か?と思えば
「だいたい、何で私には怖い声でチップやクララには優し〜く話すの?、猫のくせに頭に来る」と八つ当たり。
「ん?そんな事が解らないの?」私が聴くと「わからん」と母。
「だって猫ちゃんは口答えしないじゃ無い、母さんみたいに一々!静かだし可愛いし感謝の目で見るしさ」そう答えると
「そりゃそうだった!」と言いつつ机の下のチップを蹴った。うぎゃ〜ん。
何だかまだまだ達者な母でした。