「茶の間の正義」
一体いつから私は斯く斯様に勿体ぶった文言で物言いする人間になったのだろう、と過去帳を紐といてみたら、腑に落ちて大いに笑った。
25歳にして山本夏彦氏が愛読書だったのだから。やんちゃ、無知、お茶目な遊びたい盛りに子育てを強いられた私は大急ぎで、何かの元を取り戻そうとしたにちがいない。
背伸びをしたんだろう。一足お先に大人・・・みたいな。
最初に手にした本は昭和42年11月5日第1册になる氏の「茶の間の正義」という本だった。定価550円なり。
今だに綺麗に保管してあるところが純情一途でいじらしい。装本、イラストがあの有名な「暮らしの手帳」名編集長の花森安治氏だったことはトンと忘れていた。今みても少しも古さを感じさせない超モダンな装丁である。内容に至っては一体この鋭い観察力は何?色褪せるどころか、まさに今、問題提起された事柄ばかりのように新鮮だ。
文面で氏の文章は分かりにくい!と言われることに、こう反論している。
『私は相反することを、同時に言う。ほめながら悪く言う。悪くいいながら誉める。誉めて且つ悪く言うのは、面とむかって誉めっぱなしにするほど、図々しくないせいと、
てれくさいからである。ほめるあいの手に悪口を言えば、相手も私も救われると、私は思っているのである』
どう?江戸っ子の心映えと一緒じゃない?この微妙なユーモア。ほめ殺しという嫌な言葉を流行らせた政治家に今一度、聞かせてやりたいものだ。
人を育てることが一番難しい仕事だと、少なくとも山本翁はご存じだったからタラタラと世間に文句を言う。飲み込みの悪い私が氏のお話にのめり込むのは、叱られながらも就いていくと、さいごに大きいお菓子が(お免状)がもらえるような、人生の作法、習い事をしてる気分だったのだろうか。
山本夏彦翁は東京下谷根岸の生まれ・・・中学を経て渡仏、生活に老人の流儀が活かされていて愚痴や文句が小気味良い。
図らずも格好の教科書となっていたのかと、再度、読んではくっくっ・・とひとり笑う。
>山本夏彦と比べてオチなしとは大胆ですね。
とメールをもらいました、ぐすん、文体を真似てるわけじゃないもん(汗)。その捻くれた目線を、王道隠居は影響されてるっ・・ておはなしです。
「スパイダーマン、意外に面白かった」
コメント by 憤慨jovanni — 2004/12/3 金曜日 @ 23:49:42
見識の確かさ、文章の格調の高さ、う〜んこの香りは・・・
山本夏彦ファンだとわかります。ドンマイ さあ次いってみよう!
スパイダーマンがジョッキーになってる”シービスケット”いいですよ
サッカーは道路じゃなくて通りです。どおりでおかしいとおもった!?
コメント by yato — 2004/12/6 月曜日 @ 0:37:27
>yato様、うはは、またやっちゃいましたね、前の道路の・・・(路地、道、)とは言いますね、たしかに道りとは言わない、おおまぬけです。
サッカー通り。
申し訳ないなぁ、と言いつつ・・ダメジャン自分。
コメント by patra — 2004/12/7 火曜日 @ 1:48:19