夕陽評論家・・・油井昌由樹氏
懐かしい友人が夜になってやってきます。
なぜなら女房殿の看病でずっと病院に詰めているからです。
えらいね〜毎日お見舞いに来てあげるそうです。
「今まで自由にさせてくれたから・・・ね」 まさに男です。
夕陽評論家の油井昌由樹氏と昔から友達なのよ、と言える喜びって東京ッ子の自慢です。
黒澤明監督に出会い家康役を頂いてから何故か監督に懐かれ、井伏鱒二氏の宴会に呼ばれ、お二人が亡くなるまでお友達になってあげていた嘗ての青年油井さんももう白髪、きれいなロン毛を結わえ、颯爽と玄関に現れました。以前病気なさったので心配でしたが、実際のほうが遥かに溌剌としています。実に声が良い・・・
井伏鱒二さんとの出会いは「家康役に逢いたい」だったそうで宴会の席につくなり言われた言葉が油井さんの歴史観に衝撃を与えたそうです。
「家康は寧々と寝たね・・・」
歴史認識にそうした理解力もあるのか?と私まで驚くユニークな天才達に愛されていた理由が、今回の30年ぶりの再会で良く分った。
野暮なところの一つも無い、自然体、今では絶滅の東京ッ子なのだ。
石岡瑛子さんとのエピソードや北野たけしさんとの交流、そしてユーミンは油井さんの追っかけだった事や彼女に「貴方は日本一有名な素人ね」と言わしめたエピソード等々面白過ぎて、もっと沢山お話を聞きたかった。
油井さんは巧まずして人と出逢ってしまう運にあるお人なのだ。
スティーブ・ジョブスの高校生の頃に逢っていたり・・・黒澤さんに紹介され出逢った中で最高に印象的だった女性は塩野七生さんだった事など等・・・・
それもこれも敢えて語らないカッコ良さが、今の油井さんを更にカッコ良くしているのです。
再会できてこんなに楽しかった人も稀有でした。
そして・・・
特筆すべきは油井さんが係わっているお仕事の一つにトライアングル金山聴覚障害児教育財団(駒場の東京大学先端科学技術センタ−バリアフリ−分野 福島研究室内)の専務理事のお仕事があります。出されている「おたより」という通信リーフレットの編集をなさっている、その工夫がすばらしいのに驚いた。
耳が聞こえないコドモタチとその家族が目から入る情報に最新の心配りがしてある。
開いたどのページも文字色が2色3色と綺麗な組み合わせのレイアウトで、今まで見たどんな新聞よりもお洒落なんです。
もちろん責任編集者の油井さんのセンスです。
油井昌由樹さんのような経験値豊富な自由闊達でセンスの良い人が係わって下さる事で障害者の世界も、きっと、もっと自由でお洒落な楽しさが広がるとおもう・・・
クリスマス会にサンタさんに扮しコドモタチと遊ぶ油井さんの姿、素晴らし過ぎて・・・・泣けるし頭がさがります。
奇蹟の人福島智教授との出会いにも油井さんの引力を感じてしまいます。