「植田正治:写真の作法」
帰国早々、息子から見せてもらった雑誌「アサヒカメラ」に植田正治を探して・・・という特集が組まれていた。前にも書いたのだが思ったとおり犬をお好きだった方らしい。植田さんと言う方は亡くなるまで鳥取を離れずに、地元砂丘をテーマにお撮りになった作品が今や世界中で評価されているカメラマン。スペインを皮切りにヨーロッパ中で回顧展を催すほど注目を浴びている日本が誇るべき写真家である。
遂に日本の東京都写真美術館で「植田正治:写真の作法」展が 今月17日から来年2月5日まで開催される・・・と記事にあった。
東京へ出なければ写真家になれない・・・そう思い込む昔の若者に植田さんの写真は衝撃だろう。何故なら山陰の其の時代の身近な人物や景色を、立ち位置のバランスを変えるだけで、ファインダーの位置をずらすだけで何もかもを詩的な空間に変化させてしまう見事な構成力とカメラ.アイをお持ちなのだ。機材がどうのモデルがどうの・・海外じゃなければ空気感がどうの、小道具が衣装がどうの・・といった小賢しい事と一切無縁の小宇宙、地元砂丘から切りとられるフレームは六十数年が過ぎた今でも瑞々しく独特な感性で我々に迫る。
全くトリミングを必要としない構成力に満ちた画面から溢れてくる詩情をこの機会にぜひ沢山の方に見て欲しい、きっと新鮮さに驚くと思う。
俳優の佐野史郎さんが植田正治の写真を素材に何か面白そうな企てをしたらしい。静止画をモンタージュする手法で映像作品を製作中・・という興味深いニュースも書かれていたので息子達にも是非見に行くように薦めた。会期中佐野史郎さんの講演も在ると言うことなので詳しくは問い合わせて欲しい。
写真集「植田正治写真集 吹き抜ける風」「小さい伝記」などが手に入るのも嬉しい。
小さく日本家屋を改造したアトリエの写真が載っていたが、土間に鉄平石が敷かれ、紺色のい草で仕上げた畳が敷かれた和室は1913年生れの植田正治氏の只ならぬ美意識を感じてしまい魂消た。
素晴らしいセンス!この氏のセンスは晩年80過ぎでファッション写真にも驚くべきカメラ・アイ(視線)を発揮するわけだが・・感性が老いて衰えるなんて全く嘘だな・・・。頑固なる芯こそ美意識の基本なのか。明治生れの美しい・・を是非体験して欲しいものです。
はじめまして。植田の孫です。ときどきこちらのブログのおいしそうなごはんの写真を楽しく拝見しています。kyoさんにもパリではお世話になりました!
祖父の写真を「好き」でいてくださってありがとうございます!
こういう温かいお言葉は私には何よりの幸せであり、また祖父の写真に力をつけていただく何よりの栄養です。
はい、祖父はいろいろな犬をよく飼っていました。でもなぜか写真は猫の写真が多いです。
このたびの東京都写真美術館の展覧会でも猫の写真が何点か出品されておりまして、ここで本展の見所の一部を少々…
横浜美術館所蔵の「少年と猫」「少女と猫」は、もうネガも残っていない、貴重な戦前のヴィンテージプリントです。こういった企画がないと、私でもなかなか直接見ることが叶わない作品です。
お時間がありましたらぜひぜひお出かけください。
以上、人さまのブログ上でのちゃっかり宣伝でした…
コメント by とど — 2005/12/17 土曜日 @ 13:15:04
わ!とっても光栄でドキドキしてしまいました。
はじめまして仲田薫子さま・・・
私が?4才頃から秘かに憧れ続けていた植田正治さんです。何と言う御縁でしょうか?とっても嬉しいです。
膨大な未発表の作品も沢山存在すると伺っています。
薫子さまが大切にお祖父様の偉業を管理なさって下さるご様子は日本のカメラ歴史に於いても素晴らしい事だと思います。
「少年と猫」「少女と猫」ぜひ拝見したいものですが・・・・。
大昔、拝見したような無いような・・記憶は曖昧です。息子達は暮れには身体があきますのでお会いしたいですね。
コメント by patra — 2005/12/17 土曜日 @ 18:29:17
>とどさん
いよいよ始まったのですね!
準備やプレス説明会等々お疲れさまでした。
19日にお目にかかれるのを楽しみにしております。patraが行けるかは体調と相談してになりますが、さもなければ是非遊びにいらしてください。
コメント by kyo — 2005/12/18 日曜日 @ 18:55:03
植田正治☆写真の作法
故植田正治先生の写真展へ行ってきました 劣東京都写真美術館開館10周年記念特別企画展 『植田正治:写真の作法 ~僕たちはいつも植田正治が必要なんだ!~』 10年位前、札幌での写真展&トークショーで1度だけ先生にお会いした事が ありますが….
トラックバック by ☆INTERIM~まだ夢の途中~☆ — 2006/1/7 土曜日 @ 20:10:56