「墨に導かれ墨に惑わされ」
去年放送された番組です。篠田桃紅さん102歳のインタビューが素晴らしい。
最近出されたご本より生きた生の言葉、表情に感動してしまった。
その言葉の真摯な重さ正直さ・・・百歳を過ぎてなんと知的であることか?
「私は非現実を生きてきたのです。・・・でも作品は現実に残っています。」と話す桃紅さんの凛としたお声。
「能面は日本人にしか出来ない表現ね、角度や光に依って表情が変わる・・・面妖っていうじゃない?」
楽しそうに従弟の篠田監督と幽玄の話で盛り上がるお着物の趣味の良さも見事です。
監督は「心中天の綱島」の浄瑠璃の世界観の映画で桃紅さんにセットをお願いしたそうです。私が最初に監督の映画を見た作品でした。お身内に影響され合い、切磋琢磨できる芸術家が居る環境もお二人にとって幸せだと思いました。
当然ではあるのですがお手伝いの方がいらして身の回りを見てくださっている様なのも安心でした。
お一人で階段を上がりアトリエに行かれる姿にドキドキしましたが背後にお人が居る気配にもホっとする・・・頭脳明晰は足腰の達者からなのだ!と実感もしました。
最後に桃紅さんが
「孤独なんて、言うからそんなことになるけれど、自然な事なのに、取り立てて言う事ではない・・・」「人は本当に向き合っていないのよ・・・・こわいから、無駄なことばかりしてるw」
新作に話題が及ぶと
「結局、飽きっぽいのね」
「新しい自分でありたいと思う日々、巧く行くこともあるけれど自分自身が自分に裏切られているの、
墨がいつも自分を戒める・・・・」
百2歳にして何という謙虚さ、向上心、畏れ入って頭が下がってしまった。
お茶をしていた時間、偶然再放送を見る事が出来凄く嬉しかったです。
一々に頷きながら神に選ばれし人の声に生き方に学びました。