姉の愛した詩、
姉が愛した「詩」は吉野弘の『祝婚歌』でした。
彼女自身の結婚は、実は2度目です。10才年下のご主人と周囲の反対を押し切って結婚したのです。
2度目の結婚を絶対に失敗したくなかったのでしょう・・・
若い友人達が結婚するたびに、常に贈っていた詩がこれです。
『祝婚歌』 吉野 弘
二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと
気づいているほうがいい完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで疑わしくなるほうがいい正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気づいているほうがいい立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には色目を使わず
ゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと胸が熱くなる
そんな日があってもいいそして
なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にはわかるのであってほしい
ご主人と娘に献身的に看取られ支えられて・・・・本日がお葬式で、7月8日に逝きました。
結婚生活は幸せだったと思います。
姉も献身的にご主人を支えていました。世間には露ほども疲れを見せずに・・・明るく元気でした。
姉の写真が手元に無いのが哀しい。
これは去年2009年の11月下旬に
私がプレゼントしたウイッグを付けた姿をこっそりblog「なかよし」に載せるため横から写しておいた記録です・・・。
16回で抗ガン剤が効かなくなったと聞いていた頃です。
この吉野弘の言葉には、結婚だけではない、人と付き合うだいじな要が、すべて盛り込まれています。
読み返しては泣きました。
合掌。