スッポンスープと焼いた刺身
わざと残した鯵のお刺身を生姜とお醤油をかけてオーブンで焼いてあげます。このお刺身を残しておいて翌日,焼いて食すのを何より好きだった父の流儀でしたが本当に美味しい。この焼いた刺身は川端康成氏も大好きだったらしく姪ごさんの記憶にも、文豪自ら火鉢で焼いた刺身の一切れを小皿にのせてホイと渡してくれるのが愉しみだった、と何かで読みましたが定かではありませんが姪ごさんは母と同級生だったのでそこからのソースかも。父はくれはしませんでしたが、反対に良く宴会をした私が大皿にダレて誰も手をつけないまま,残った刺身をササっと引き上げようとすると,慌てて箸を出す殿方がいましたけど心の中で「これは父用です」と気づかぬふりしてしまい込みました。
翌日、晩酌用に焼いて出してあげると、たとえ3切れでも喜んだものでしたが私も年をとるにしたがって父流儀が染込んでいて、わざと刺身を残すという贅沢を覚え、ひとり笑ってしまいます。