病室にて
天使のように可愛く、更に甘く綺麗な声の若い看護師さんがその夜の私担当でした。耳に心地良い声に慰められながら・・・よし!がんばるぞ!と自分にさらに気合いをいれる。こんなに可愛い看護士さんが、ななんと私にカテーテルを挿入すべく悪戦苦闘・・照明が暗いせいで作業が・・・。あの〜〜、そこ違いますけど・・気弱に答える私に二人共笑い出してしまう新米さんでした。
「イチダサ〜ン♪夜ご飯はどうしますか?」
「勿論、食べます!」と前向きな良い患者さんを装おうべく、張り切って答える私はオヤジな気分・・。
フミちゃんの日本滞在の二日間で身の回りを整えてもらうべく、ベッドから細々と指示をし、息子の入院グッズを全部借りてペットボトルの水を買い占め、用意万端整えました。火曜日までは旗日連休の為、先生は基本的にお休みなので、血栓予防の機械が足に取り付けられただけ、病室も静かです。肝心の両足はギブスに巻かれ機械で冷やされ沢山の砂袋やクッションに埋まりピクリとも動きません。
フミちゃんの報告によると1階にローソンが入っているそうです。美容院もあるらしい。息子の入った警察病院に比べ「綺麗な病院ですよ〜〜〜♪」部屋も4人部屋なのに2倍も広いそうです。フムなるほど!さすがはバブリーな郵政省時代の産物なのね,と感心する。
さしあたって最大の懸念は、洗濯モノをどうするか?です。早速看護師さんに伺うつもりで「息子夫婦は明後日には日本を離れるのですが、家には齢90の母しかいません、洗濯はどうしたら良いでしょう?、14日の手術にも立ち会えないと思いますが?。」
すると看護師さんは事もなげに「心配要りませんよ、病院にクリ−二ング屋サンが入ってますから頼むなら連絡しておきますけど?」とにっこり。シャツも靴下もパンツも50円、ズボン百円、パジャマ上下2百円と言う安さで昼に出して夕方にはベッドまで届くという便利さに私は勇気百倍!大安堵で早速お願いすることにしました。
昔、母が入院していた頃から十数年も経つのだ、時代が働く人、独り者のニーズに叶って来たのだろうと大喜びで・・・。
冷蔵庫とTVのカードを山ほど買ってもらうと私の臨戦対策は全て整いました。
「お婆ちゃんだけが心配だけど私は頑張るから何も心配しないで安心して帰りなさいね」命の恩人フミちゃんの労を労いながらベッドの中から手を振り別れを惜しみました。
息子からの伝言には「潔癖性なpatraだからしんぱい。いっそ個室にしたら?」そう勧められましたが自分の父を個室に入れられなかった私が個室なんてあり得ない、しかも整形の個室には車椅子用のトイレが無いそうです。無駄じゃ無駄じゃ・・これも修行と心得ますから。ちなみに整形の個室は1万8千円?安っ・・・父の病院は5万だった。
翌朝ふと気配を感じベッドの足下を見ると昨夜とはうって変わった年輩の看護師さんだか女医さんだかクールな人が無言のまま覗いている。「先生ですか?」いいえ、首を振りながら近づいてくると紙に書いたメモを渡された。考えまいと思っていた例の、そのメモには紙お襁褓と濡れテイシューとか用意すべきモノの羅列があった。・・・・もちろん消臭剤と共に山ほど購入済みだった品々が。現実的には辛いが避けて通るわけには行かない覚悟として私は知識のありったけを駆使し、自分用の通動散から何から万端考えられるだけのトイレ対策も指示し用意しておいたのですが。
さらに次の日・・・
「初めまして、今日、担当の○○です、血液検査の採血しますね!其の後ベッドのマットレス取り替えたいんですが?動かしていいですか?」冗談でしょう、絶対止めてください!と叫ぶ私。
元気溌溂看護師さんはやる気満々な顔で説明する所によると「床ずれしないように出来るだけ患者さんを転がすように、先生から指示されてるんですけど、身体、横向けませんか〜?お手伝いしますよ♪」
「横なんか向けるわけないでしょう、両方折れて仮ギブスなんだから、ベッドマット交換するなら明ご日の手術中にしておいて下さい!それと必ず電動上げ下げベッドにも交換しておいてください。いいですか?私の尤も苦手は自力で頭が上がらない障害なんですから手動では家族も居ないし困ります・・・<人を丸太みたいに転がすなんておそろしや!心のさけび>自分で拳(コブシ)をお尻の下に入れて、時々空気を入れてますから・・床ずれなんかになりません!」と断固拒否をする。
さらに翌日・・・
レントゲン撮りますよ〜といかにもベテラン看護師さん。ギョ!又ストレッチャーに移動?動かすのか?察知したベテランさんは「そのままで良いですよ、機械と技師さんが来てくれますから・・・ただし足動かす時はそれなりに我慢してくださいね。」・・・嘆息。
土、日、月の間入れ替わり立ち代わり時間帯によって担当看護師が3人づつ変わる事を知り、其の都度自分の状態を1から説明しなければならなかったのには疲れた。
しかも2時間毎に懐中電灯で照らされる夜中の見回りには慣れずにほとんど一睡もできないまま夜が開けるのは想像以上に厳しい入院生活を予感させた。
同室の老人の痴呆による騒ぎなどもあり、傷の痛みや腰の痛みで眠られない状態が3週間もつづくことになるのだが、まだそれほど酷いとは思っていなかった。
☆
恐いと思っていた部長先生が「息子さんの担当医、東大の××先生に逢って来たよ。ミオパチ−について、やっぱり病気が病気なので用心して全身麻酔じゃない方法で行くからそのつもりで」わざわざ情報を得るために時間を割いてくださった事にあらためて感激する。
連休明けの火曜日は慌ただしく動きが始まり手術は翌日14日と決まった。左足はそのまま手術はしない!と部長先生は考えていたらしいが私はどうせならばより回復が早いように両方を一気に希望・・その旨若い担当医に告げる。「そう考えてます、じゃそうしましょう」
カリスマ的雰囲気の大柄な女医さんが麻酔医でした。過去にも私の脊髄は針が入りにくい問題ありなのでクレグレも宜しく!とお願いをし,手術中話し声が聞こえるのは嫌なので睡眠薬で眠らせて頂く事を切望。ブロック麻酔も併用し時間が長引いた時の対応も万全にしていただける!と伺いやっと安心をしました。
早朝にパリへ戻った息子から託された姉が午後やって来る。突然なので手術日はスケジュールが開かないとのこと。もちろん自分一人で覚悟していたので全然平気!と伝える。たかが骨をつなぐだけなんだから!依頼書にも自分で自分の保証をサインし、何から何まで一人でやること事態にスリルがあって遠足前の子供みたいにワクワクしながら病院バッグから浴衣やT字帯などを出し,20年も前に万一に備えて用意したパジャマの柄が明るく元気色だったのが妙に嬉しかった。
やっぱりリアルですねぇ・・・。
臆病者の私には、次回(?)の手術のエントリー読めるかしらん。
それにしても、前向き・積極的なPatraさん、頼もしいですね。
コメント by 酔仙亭 — 2007/8/8 水曜日 @ 13:02:06
リアル..だめでしょうか?酔仙亭さま
実録のつもりなのでついついリアリティになってしまいました(笑)
手術に関しては巨匠タルコフスキ−の短編映画オペラ「決して眠ってはならない」だったか?手術場面の映像を思い出してください・・・・。
おっと!!息子から訂正がはいりました、『それは短編映画『ARIA』からケン・ラッセルの「誰も寝てはならぬ」です。』
すいません。
当人は知らずにいるのですから,呑気なもんです。
逆境に力を発揮するタイプでお騒がせしてます(笑)
コメント by patra — 2007/8/8 水曜日 @ 18:34:26
Patra様。
リアル、全然問題ございませんよ。
ただ私が、臆病者なだけで。わはは。
孤軍奮闘(?)の記録、楽しみにしています。
コメント by 酔仙亭 — 2007/8/9 木曜日 @ 12:51:37
Patraさん、コメントありがとうございました。
ちゃんと読めました。
ありがとうございます。
これからもよろしくお願いいたします。
コメント by 酔仙亭 — 2007/8/9 木曜日 @ 17:35:56
半年も留守にしたせいでしょうか読者が極端に減ったこのブログへ
コメントくださり貴重な情報をお寄せくださって感謝いたしております。
時々,他所のブログへコメントしたいと思ってもログインしないと出来ない所が多く
不慣れでシッパイしてしまう私です。
こちらこそお世話になります。
コメント by patra — 2007/8/11 土曜日 @ 0:03:18
ブログを始めてからというか、書くことが好きなので、
事が起こると、状況をどのように書くか、いつも頭の隅にあります。
もしかしてpatraさんも、そんなところがあるのでは。
痛いときでも、この状況をどう表現するか・・・など・・と?
間違っていたらごめんない。
それにしても、紙おむつ・・とは、大変なことですね。
おお!懐かしや、T字帯という言葉(爆)・・・
パジャマの元気色に包まれpatraさんの入院生活が始まりましたね。
ユーモアというか、人間窮地に追い込まれたら笑うしか無いことがありますね。
そんな中でのユーモアを持ち続けるpatraさん、バンサイ!!
次は手術のシーンですね・・・恐ろしいから目を隠して読みます・・^o^
コメント by sakura — 2007/8/11 土曜日 @ 3:03:25
sakuraさま
ご旅行はいかがでしたか?
マウンテンバイクの乗り心地も気になってました。♪
あんまり考えないで書くタイプでお粗末だといつも叱られてます、どっちかというと。
推敲が足らないし誤字が多いとか!。もっと考えるべきでしょうね。
幾ら何でも紙オムツは考えられないので、もちろんオマルで工夫しました。で食べ物から乳製品を抜かし野菜と果物ジュースで匂いを消す努力もしましたよ。
笑うしかない、ってこと一杯起きましたが、看護士さんが吹き出して仕事が捗らない事度々・・・お笑い芸人にも負けてないかも?
コメント by patra — 2007/8/11 土曜日 @ 13:22:29