「望郷」を見て・・
姪から母に贈られた花・・・ピンクが寂し気だけど、とっても、かわいい。
7日土曜日NHKのスペシャル。
終戦60年企画のドキュメンタリードラマ
5/7放送の「望郷」を見て号泣してしまいました。
極寒のシベリアでの捕虜生活は辺見じゅんさんの「ラーゲリから来た遺書」を読んでいたので旧ソビエト、奥地における日本兵の収容所暮らしが密告の連続で洗脳された日本兵同胞が同胞を裏切る過酷なものだった!と知っていた。その地獄を生きた一人の実在する日本の軍医、渡辺さんが、厳しい捕虜暮らしの中で耳にした音楽「望郷のバラード」、このヴァイオリンの音色から始る奇蹟のような再会のドキュメンタリードラマだった。
ドイツ兵捕虜達の中に独りだけ混ざっていた為にドイツ兵からも虐められたルーマニアの捕虜と交わした「友情と約束」を当時のまま忠実に再現したドラマだが、軍医に扮した関口知宏の顔が実に良い。日本人の顔はこんな風だった。誠実な演技もルーマニアの青年に扮した役者もごく自然で、丁寧な脚本と演出だったから、さぁ滂沱の涙が止まりません。
どんな逆境の中でも人間の尊厳とは、そう簡単に崩れ去るものでは無い、と我々に希望を与えてくれる教えが何より嬉しい。実際の御本人、渡辺保男氏がもう90才にも成る御高齢にも拘らず御本人として出演しておられ再会への実写となる後半は、机の上はティシュだらけ・・・。
ルーマニア政権の崩壊後、渡辺さんが、収容所で教えた「大日本」という書き出しで始る宛名の手紙が日本の渡辺さんの許に届くエピソードは出来過ぎな感じもあるが、事実は常に小説を超えるもの。運命の出会いへと繋がるのは10年後の2002年だ。見ていない方のために詳しくは書けないのが残念だが、この渡辺さんの一途な気持ちが素晴らしいのです。号泣する老人の姿の何と美しいことか!
「しかし我々は勇敢に闘ったネ。その事が世界の平和のためになった・・・」
真にそのとおりでしたね。ふたりの老人の美しいお顔が総べてを語っていました。
戦争を知らない若い世代にもぜひ見ていただきたいので、再放送、DVD化を切望したいものです。どんな教科書より雄弁に戦争の残酷さと人間の強さを語っています。
≪実在の渡辺俊男さんについて≫
大脳生理学者。元御茶の水女子大、横浜国立大教授。
第二次世界大戦時、軍医として北支戦線に従軍していたが終戦直前に捕虜になり、ソ連奥地のエラブカ捕虜収容所に3年間抑留された。