悩みの義経さん!
弁慶と漁師の娘との出会いは「潮騒」のパロディーかしらと弁慶の狼狽ぶりに笑ってしまった17話でした。・・・松平健さんはリラックスした笑顔がすごく良いので今回のお茶目な弁慶はすごくハマりましたが別ドラマみたいな印象です。大河には思わぬ役者を発掘する面白さってのがありますからオセロのお二人、松島さんと中島さんも中々の女優さんぶりで、脇が楽しいですね。その分空洞化が目立ちます。
なぜに弁慶をことさらに女嫌いに仕立てようとするのかが不思議だったので、有名な見せ場、”弁慶立ち往生”の壮絶な最期へと引っ張る布石かもしれん?と秘かに期待していたのですが何だか朗らかな設定ですね。男の美学とでもいうような涙なくしては語れない、
弁慶の
六道のみちの巷に待てよ君おくれ先だつならひありとも
この永訣の言葉をお互いに交わし死出へと向う義経さんへの忠心、絆は、尋常では計り知れない類いの強さじゃないと説明がつきません。それほどの絆を今までは「一目惚れ」くらいで切り捨ててますから結構期待してましたが、単純に一途なお人として理解すべきなのでしょう。
弁慶が溺れる事で一気に弁慶の不運な生い立ちを説明してますが、果たしてどうなるのやら。いまの所弁慶も義経さんも全然強そうな人には見えませんが、これも狙いなのでしょうか。主人公義経さんの影が相変わらず薄いことも気になります・・・。
切ないはずの義経さんと静の別れがアッサリとしてしまうのは義経さんを優柔不断男に徹底的に仕立てているせいでしょう。来週は清盛の死です。現代に於いても父親の死でやっと正気に帰る息子達が多いのと一緒で、心の枷が外れた義経さんが野生に目覚め、本性を剥き出しになさる化ける瞬間も来るのでしょう、切望。
自信なさげな義経さんにくらべ、幼すぎる?と思わせた静が存外しっかりと決ってきました。いつの世も女子の成長は早いものです。別れに詠む歌は
かまくらの 葦のかりねの 一夜ゆえ
身をつくしてや こいわたるべき
と聴こえました。
平安時代の文化度の高さには驚きます。20才やそこらで別れ際に、殿方の胸に刺さる歌を詠む芸当は現代のお嬢さんでは、まず稀でしょう。
静がいかに、機知に富んだ乙女だったかが分かるシーンでした。
義経さんの術無し・・・のお顔が泣かせます。今も昔も何だかんだ女子が上手に殿御をリードし歴史を動かしていたのですね、と言ったら、また、叱られそうですけど・・・。
大河ドラマ義経では登場人物の各々を歴史上の遥か遠〜い設定ではなく、英雄でもなく身直な何処にも存在する筈の弱者も強者も一つの人間性の中に在り!として描こうと努力している様子が、好ましい。成功しているかどうかは別としても・・・見続けます。
今週は目先を変えて
ジンギスカン伝説への面白い着目点についてのご紹介です。