娘、老女に近づく

おまえ、いくつに成ったの?とパソコンのキイを叩いている私に老父が尋ねた。
「もう来年還暦。なぜ?」と尋ねるとめずらしく大口開けて嬉しそうに笑いながら「ならしょうがないか、おまえ、ほっぺた落ちて横からみるとお婆さんだぞ」っもう、それを言うなって。
「そんな小さい字、見えるのか?」とさらに聞くのでまだ大丈夫、でも疲れるよ、遠視だから・・・と答えると「なら、止せばいいじゃ〜ないか」と気の毒そうに言う。
だって世の中そのうち銀行までコンピューターの世界になるもの、今覚えておかないと困るでしょう?字は大きく表示できるし!と答えると「それもそうだな!ご苦労さん」そして急に思い出したっように「ところで俺のギターはどうした?出して置いてくれ!こんなのじゃ指の運動にならないよ」と抱えていたウクレレをポロポロ鳴らした。
掃除のたびに立てかけたギターが倒れるのに業を煮やした私が押入深く閉まって久しいが父はフラメンコギターが得意だったのだ。「分かった、出してあげるからそのかわり補聴器つけてね!」と言うと聞こえないふりして2階へ逃げた。む、怪しい?なぜ都合の悪いことだけ聞こえない振りするのか、老人。
大音響のテレビに加えてバリバリかき鳴らされるギターじゃ防御体制となりあごを引く、必然的に顎を年中引いてると肉が弛むし垂れるのよ、まったく暴走族ならぬ暴音老人なんとかならないか?それが問題だ。

☆通販

最近通販に頼ることが多い。ネットでも失敗しない。お鍋などは特に良い。家具もサイズさえ注意すればまず問題ない。昔取った杵づか?スタイリストは目分量の鬼である、って自慢しても何であるが、通販にはサイズの把握が結構肝心なんである。
 奥行きと高さに加えて幅。見落とすとわずかな隙に入らない。素材も把握しないと失敗するがこれは注意力以上にカタログを読む際の慣れが決め手。納得ゆくまで飽きずに読むに限る。
小さいものは表示のサイズに紙を切ってみると、テーブルとのバランスが一目瞭然、こんなはずじゃない・・・てことにならずに済む、あ、これは食器などの場合特に大切だ。
ところが最近凄いお店を発見。懇切丁寧に写真を送ってくださり更に気に入った何品かを送付するから選んで送り返してくれていい・・・と。信用していただいているのが伝わるありがたさ。昔は背負い呉服屋など当り前だったけどこれは対面すると断わり憎い。
お店がお客を選ぶ時代ならそれなりの対応が望ましいし嬉しい。土踏まずの隠居でも不便がないが財布が不便なのが残念なり。
そして追に芸術家の作陶になる壷と湯のみをネットで購入した!大成功。スリリングなのは作者も講入者も一様だったが世界が広がるのは同じ思いだ。

☆夜中の装い

夜中に思い立って料理をしてしまう癖がある。たいがい期限きれ間近い食材を冷蔵庫に見つけた時や新しいレシピを試してみたくなる時だが、そんな時は老人が寝静まった夜中に限る。
ほくほくと焼き上がって良い匂がすると味見がたのしい。
独り次はこうしようかしら?などとほくそえむ。
こっそり3階に内線するとまだ起きているらしい若者の元気な返事!
そこで「あの。笑わないでね!今子羊のクラウン焼き作ったんだけど食べてみる?でも凄い格好してるから私を見ないふりも宜しくね」
すると明るい声で「大丈夫ですー私も今、凄いですから、すぐ頂きに上がります〜♪〜」ウキウキとお嫁のフミちゃん。
ドアをこっそり開けてお皿だけ差し出すとオレンジ色のほぼ日パーカー姿のフミちゃんが可愛い。
一方私は!というと本当に酷い姿なり。芋虫みたいな緑色のズボンに合うはずのないワイン色のジャケットからシャツの裾が・・・そこらの手に届くのを着込んだら、このありさま。
教訓、若さには何も飾りは要らないが老女は油断大敵、酷いと自分で思う以上にそれはすさまじく酷いから。面倒臭いは禁物なり・・・と自戒。

☆メイルが滅入る

G3が壊れ大切なメイルが消えてしまったかもしれない、機械が戻るのを待つしか術がない日々。ファイルに入れてあっても、ほかの箱に入れておいた訳じゃないので消えているとすれば残念この上ない名文のメイルの数々。
できればもう一度送信していただきたい、とお願いしたら大切な方からのメイル手元に戻るのだろうか?。こうした場合、皆さんはどうしているのだろう?ため息とともに虚しくフォルダを閉じる。

☆先行者ゲーム

もう絶対にやらないぞ!先行者ゲーム。やれっこないのだけどインストールにさえ手間取る。
息子が特別に開けるようにpatra game htm設置してくれてもフリーズする。「気合いが足らないんだね、後は!」そ、そんな〜である。
しかしゲームセンスが良いシルチョフ兄弟の傑作である、老女の私がやって見たいと思うようなゲームなのが凄いところ。キリン缶けりといい。キャラクターが可愛いいったらない。ホンダのアシモやソニーのアイボも出てくるのだけど中国のロッボット先行者が不思議に時代感覚を映していておかしい、版権は大丈夫なんだろうか?などとボヤキながら諦めていたら3階から降りてきた息子がゲームを開いて、やってみせてくれた。
自分でも教えられたとうり早速やってみる。もうさんざんである。止せばいいのに得点結果を調べてみたら何度でもワン教官が
「おまえがケツだ、化け物に乗るのはニュウータイプにまかせて畑でも耕したらどうだ?」と絶望的な御宣択、ごもっともなので「へい、」と引き下がる。次にやっとテムザックまでたどり着くも「希に見る下手くそだな!」の一喝にやっと気が済んだ。
先日久しぶりにトライしてみたら一段とヴァージョンアップしていて、訪問者も百万をこえる人気サイトになっている、そして私のゲーム結果は!というと、ワン教官が吠えた。
「誰だ!猿を操縦室に入れた奴は!」
私はため息とともにマックを閉じ、猫と遊ぶ普段の隠居にもどるべくスゴスゴと下へ降りた。

☆少女服

結婚報告ライブを開く息子達が連休に合宿練習に出かけた。
30過ぎの大人だから首をつっこまず任せていたが、お嫁のフミちゃんのドレスだけが気がかり。
本来ならば実の親に見てもらえるお仕度を、どうやらたった一人で進めているようだ。
無駄になってもいいから!スイス綿ローンの少女服を自分のコレクション(自作)から用意する。アリスか金子国義の絵に出てくるような共布のパンツ付き、子供っぽいフミちゃんのイメージにピッタリだと思う。母もおお喜びでうれしがるのが可笑しい。
「だって一生に一度だもの、これくらい派手で丁度良いわよ、喜ぶに決まってるわよ」と、心配する私に太鼓判。
お土産の峠の釜飯と共に戻ってきた二人にさっそく見せると
「おぉ〜凄いね!服のインパクトが強いからこれを着たら?」とまず息子が乗り気。
フミちゃんも「嬉し〜〜い!」を連発。サイズもぴったり。
彼女の用意したドレスはそれなりに良く似合うものだったが、お嫁さんが着るには質素だったのでそこが彼女らしい良い所だったけど不憫な気がしてピンクのギャツビー調のジョーゼットのドレスや合わせる帽子など私のコレクションから引っぱり出してワイワイとファッションショウをしてみる。
すると嬉しい発見、普段、地味なフミちゃんが帽子やドレスが似合うことといったら!おもわず息子にお礼を言ってしまう。だって私の物が無駄にならないなんてこれに勝る親孝行は他にないもの。心よく着てくれる彼女の素直さも更めてうれしかった。
大きすぎるところを急遽直して間に合わせる。
予想以上に好評で沢山の友人達に深いおもいやりをもって祝っていただいたようだ。感謝。

☆べビーブルー

赤ちゃんを育てていると自分の時間はほとんど無い。睡眠の激減はもちろん夫との会話も全て子供のことばかりになる。
新米のママが新米のパパに泣き言を言い出す・・・こんな頃が夫婦の最初の危機ともいう。
女のかわいらしさより母としての逞しさばかり求められて、理性では分かっているものの時々
言い知れぬ孤独感にさいなまれ、抱こしたまま涙なんか流した記憶がある。
授かった子供は愛らしく嬉しいのである、とてつもなく幸せのまっただ中にいて窒息するほど充実しているのに外で身軽に仕事する仲間が羨ましいのも真実なのだ。子育ては妊娠からホっとするまで時間がかかりすぎるのも問題だ。
私はねんねで母になったから時々無償に遊びたい病になって、よく母や姉に赤ちゃんを預けて精神のバランスを取っていたっけ。
そんな子育て奮闘中の日記が素敵に面白い「あいかん」の”とももんさん”も、きっとみんなと遊びたい疼きがあるかな?と気持ちを重ねてみてそれとなく打診。すると・・・
もの凄い反応ぶりの返事が届く。やっぱりちょっとだけ他の空気が吸いたかったみたい。
それなら、とばかり車掌さん、さやかさん、とももんさんのネット愛人?のERIさんを交え赤ちゃんのほっぺ摘み大会を、我が家ですることに決まった。
19日、初めましての”とももんさん”と夫さま、うわ〜関西風お笑いの(失礼)乗りとは大違いの素敵カップルなの!若い、って当り前だけど。なんか文章からするともっとおじさんかと思った夫さまも”とももんさん”も清々しい若夫婦ぶりだ。
するとあの文章は芸ですかね。たくみな文章に乗せられていた私、巧い文章は時として人を惑わす(笑)、赤ちゃんも又かわいくてどこが大仏だ?ふくら饅頭だ?食べたいくらい愛らしい大和撫子ぶり。
にっこり笑う笑顔は皆を明るくする。
”とももんさん”は母親業にめげるどころか可愛い女も十二分にやっていて、デイップで跳ねた髪型もお洒落に決まり。夫どのの愛もたっぷり享受するおんなっぷり、すごい頭の良さげな曲者ぶり。妻ぶりママぶりも完璧なり。さっすが〜!なのでした。
それにしても協力ぶりが板についた夫殿が見事なのは言うまでもなく、いつの時代も良い女の側には、良い男の力あり。
楽しい晩でした。

食べた物
1、生ゆばと生うに 3色野菜のムース
(ブラウンマッシユルーム、ほうれん草、ベビー人参をそれぞれソテーや茹で、グラッセして玉子で繋ぎ1段つづ火入れする。)
2、黄色パプリカの器にキュウリと蛸を辛子マヨネーズ合え、香草とミモザドレシングで
3、蛸と小柱、イタリアンパセリ 黒いドレシング(ニンニクとバルサミコ酢を煮つめたもの)
4、豚の角煮
5、帆立と海老のテリーヌ(小松菜、パプリカのマリネ、マシユルーム)
6、完熟トマトと水牛のモッツアレラ、イタリアンパセリ添え
7、若鶏のトマト煮プロバンス風 茹でオクラ 赤いビーツ添え
8、タイユバンのブルベリーのタルトとコヒー
他に生チョコとサクランボ、苺 河豚のぶっかけとアボガドのディプに黒パン


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